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銀魂【映画】

2017/08/10


 仮想江戸時代末期、江戸の街は古来の民家と高層ビルディングが錯綜し、未来のテクノロジーとレトロな文化が入り乱れていました。地球は宇宙人すなわち天人(あまんど)の侵略を許し、社会は彼らに牛耳られ、奇妙な風体の異人たちが大手を振って闊歩していました。
 天人の侵略を認めず、彼らから地球を守ろうとして攘夷戦争を戦った攘夷志士たちも今や武器を捨て、庶民の暮らしに甘んじていました。天人たちは力で地球人を圧倒したものの、攘夷志士たちのような反乱が再起することを恐れ、廃刀令を公布しました。
 かつて攘夷戦争の際には白夜叉の異名で恐れられた坂田銀時は、今では万事屋を営み、平凡な町民として暮らしていました。ある時、刀鍛冶の村田兄妹の依頼で妖刀紅桜を捜すことになった銀時ですが、最近出没するようになった辻斬りがそれを持っており、幼馴染みの浪人桂小太郎がその刃に倒れたことから、その背景にある事件に関わることになります。
 銀時の万事屋で働いている新八と神楽は、それぞれ独自に桂小太郎を追い、怪しい航空船舶を見つけて潜入しますが、その船の中は要塞になっており、多数の紅桜が化学培養されているのでした。紅桜は天人の科学技術によって人工知能が埋め込まれ、使い手と同化しやがてそれを飲み込んでしまう恐ろしい魔剣に改造されていたのです。
 桂小太郎と同じく銀時の幼馴染みにして攘夷戦争の盟友でもあった高杉晋助が、鬼兵隊(攘夷戦争時代の義勇軍)を再編し、天人と手を組みクーデターを企てていたというのが、今回の事件の真相でした。
 情報をつかんだ新撰組も、高杉の野望を阻止するために進撃を開始、紅桜を持った辻斬りとの一戦で負傷した銀時もナ〇シカから借りたメーヴェに乗って敵地へと赴きます。

 原作コミックおよび長編アニメが大ヒットし、アニメとして映画化もされてきた銀魂ですが、その人気は原作の連載開始の2004年から13年を経た現在も一向に衰えません。テレビアニメもさりながら劇場版も多くのファンを魅了してきましたが、今になってまさかの実写版! これまで日本映画におけるアニメの実写化はことごとく大ゴケし、原作やアニメのファンたちをご立腹させて来たわけですが、その黒歴史についに銀魂も参戦ということで、ファンたちは多いに落胆したわけです。
 失望させられると解っていても観に行ってしまうところが、ファンの悲しい性(さが)ですね。あたしゃ銀魂ファンを名乗るほどの猛者ではありませんが、TVアニメをかいつまんで観たり、劇場版アニメもかいつまんだり。銀魂は、これまで観る者を裏切らないたいへん優れた作品でした。それを実写版は台無しにしてしまうのでしょうか。
 結論を申しますと、大変に良うござんした。大いに笑いましたし、みごとなキャラの再現ぶりに感銘を受けました。小栗旬の坂田銀時、菅田将暉の志村新八、橋本環奈の神楽ちゃんはもとより、岡田将生の桂小太郎、中村勘九郎の近藤隊長、柳楽優弥の土方十四郎、吉沢亮の沖田総悟もじつに当たり役でした。長澤まさみのお妙ちゃんも文句のつけようもありません。着ぐるみ感ハンパねぇエリザベスも、まぁよくできていたかと。
 「カブト狩りじゃあ」と捕虫網と虫カゴ携えた神楽ちゃんが怒号を発します。子供たちと対戦して巻き上げられたカブトムシを再度捕獲したいというのです。新八も銀さんもまったく乗り気ではありませんが、たまたまテレビのバラエティが、車が買えるほどの価値あるオオカブトが近くの山にいると報じていたのを見るや、銀さんもむっくり立ち上がり「カブト狩りじゃあ」と叫びます。
 かくして山に分け入った3人は、そこで国家保安部たる新撰組の皆さんが、カブト狩りに興じているのに遭遇します。近藤隊長は全身にハチミツを塗りたくり、土方副長は木にマヨネーズを塗りたくり、沖田はあきれるほどリアルなカブトムシの着ぐるみを装着し、獲物の飛来を待っています。
 とまぁ、なんじゃそりゃな日常で幕を開け、お話しは急転直下クーデターを企む高杉一派との緊迫した戦いへと発展して行きます。発展して行くのですが、随所にお笑いが散りばめられていて、戦闘アクションが、暑苦しい熱血根性ものに傾倒し過ぎず、たいへん見やすくなっています。ただただ熱血全開の戦闘シーンって見ていて疲れるんですよね。そこへゆくと、お笑いを適度に盛り込んだアクションは、消耗が少なくていいですね。適度な緩急は作り手のセンスが問われます。センスのないお笑いは見るものをいらだたせますし、ストーリーやキャラへの感情移入を台無しにしてしまいますが、この作品の笑いのセンスはひじょうに素晴らしいものでした。

 そもそも銀魂の世界観が、江戸時代末期の日本をパロッったもので、新撰組をカッコいいけど汚れ役で登場させるあたりなど、時代劇ファンに対してなかなかの冷や汗ものなのですが、この劇場版ではヤバイ他作品ネタがゾロゾロ出てきてさらに冷や汗が流れます。劇場版アニメでは映画泥棒が作中でも重要な役を演じるなんてとんでもないことをやっていましたから、この実写版で銀さんがメーヴェに乗って飛ぶなんざ、どうってことないのでしょう。
 劇中で銀さんは最初で最後の実写版だと言っていましたが、やはり2作目3作目を期待してしまいます。この作品に描かれたのは、原作のカブト狩り篇と紅桜編の一部だけで、今も連載が続く原作にはまだまだ山のようにエピソードがあるわけですし。
 実写版はギャグのセンスもさりながら、キャラクターの再現がひじょうに良かったことに感動しました。実写版が陥る失敗の多くが、観客に"じゃない"感を抱かせることだと思います。全然似てねぇし、まったく別人じゃん、こんなの悟空じゃない、そんな思いをするのがイヤで実写化を望まない人も少なくありませんし、観客にそんな思いをさせないことは、途轍もなく難しいと思います。
 コミックの実写化では、同名の別作品として成功させるという例も少なくなく、日本の数多くのコミックが韓国や台湾で実写化され成功していますが、銀魂に関しては、キャラを変え、世界観を損なってしまってはやっぱ負けでしょう。そう考えると、この作品はじつに素晴らしい。ひとつの偉業を達成したと言っても過言ではないと思います。

2017年、130分。
原作:空知英秋。
監督、脚本:福田雄一 。
出演:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、新井浩文、吉沢亮、早見あかり、ムロツヨシ、長澤まさみ、岡田将生、佐藤二朗、菜々緒、安田顕、六代目中村勘九郎、堂本剛ほか。

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