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グレートウォール【映画】

2017/06/02


 世界遺産にして世界七不思議にも挙げられる万里の長城は、紀元前の中国において秦代の始皇帝によって建設されたとされますが、その多くの部分は明代に築かれ、延長6260kmの長城が完成するには1700年の歳月が費やされたそうです。日本列島の長さが稚内から鹿児島までで3000kmほど、与那国島までを含めても3500kmほどです。万里の長城は長いですね。
 長い歴史を持つ長城には、数々の伝説があり、この物語はそのひとつであると映画の冒頭で解説されます。
 傭兵のウィリアムは、金と名声を求めて世界中を旅していましたが、今回の旅の目的は伝説のブラックパウダーすなわち火薬でした。しかし中国を目指すシルクロードの旅は過酷で、彼が率いた部隊は度重なる騎馬民族の襲撃によってほぼ壊滅し、彼とトバールの2人だけが生き残りました。しかしながら目前に壮麗な壁が立ちふさがり衛兵の放つ弓矢が行く手を阻み、後方には馬賊が迫っていました。ウィリアムとトバールは武器を捨てて降伏を示し、捕虜として長城防衛軍に捕らえられます。
 長城の防衛を司る禁軍の幹部は、秘密を守るために2人を処刑しようとしますが、軍の指揮官のワンは、ウィリアムが所持していた野獣の足に興味を持ち、処刑を延期させます。
 拘束された状態で城壁の上につながれた2人は、長城が無数の怪物に襲われるのを目撃しますが、混乱に紛れて拘束を解くと、得意の弓矢で怪物撃退に加わります。
 働きが買われて客人としてもてなされたウィリアムは、襲ってきたのは饕餮(とうてつ)といわれる魔物で、2000年前に人類の傲慢がこれを産み、以来60年に1度大群で攻めてくるようになったということを知らされます。禁軍は饕餮から都を守る防衛部隊で、ここを破られて都が襲撃されれば中国が滅ぼされるばかりか全人類が滅亡の危機を迎えるとのことでした。
 ウィリアムが長城に持ち込んだ野獣の足は、野営中に襲ってきた獣を撃退した時に得たものでしたが、それがまさに饕餮のもので、彼が饕餮の撃退に成功したのは、コンパスを作るために持ち歩いていた磁石が怪物の感覚器を狂わせたからだと解ります。饕餮はすべて女王の命を受けて行動しますが、磁石を近づけると休眠状態になってしまうのです。
 饕餮は60年前に比べて格段に知性が向上しており、ある時ワン司令官は巧妙な夜襲によって命を落としてしまいます。禁軍でワンの指導を受けて育った若き女性兵士リンがワンの後を継ぐことになりますが、リンは英語も堪能で、ウィリアムとも親密になります。これまで他人を信用せず力で富と名声を獲得する生き方をして来たウィリアムは、仲間を信じ大義のために戦うリンの生きざまに感銘を受けます。
 リンに英語を教えたのは、ずいぶんむかしにウィリアムのようにヨーロッパからやって来たバラートという男で、彼は禁軍と懇意にしながら火薬を盗んで脱走し、ヨーロッパへ帰る機会を狙っているのでした。
 饕餮の大群は退けてもまたしばらくすると襲ってきます。饕餮襲来の混乱に乗じ、バラートとトバールは火薬を盗んで脱走を試みますが、ウィリアムは禁軍に残ることを選びます。
 饕餮たちの正面攻撃は実は搖動で、そのすきに彼らは長城の一部にトンネルを掘り、城の向こうへ抜ける道を築いていました。禁軍がこれに気づいた時にはすでに大量の饕餮が都を目指して進撃しているのでした。
 トバールたちの脱走で謀反を疑われたウィリアムは牢に監禁されていましたが、饕餮に前線を突破された禁軍は、リン司令官の命で彼を解放します。自由を得たウィリアムは武器を携え饕餮討伐に加わります。すでに都を目指している饕餮の大群には馬や兵士の足では負いつけません。リンはこれまで成功例の少ない熱気球を使って饕餮を追いますが、ウィリアムもまた彼女を追って熱気球に乗ります。
 都はすでに饕餮に覆われ、その女王も都に迫っています。リンとウィリアムに饕餮を止めることはできるのでしょうか。

 予告編を観た時には、それほど興味をそそられませんでした。太古の怪物がわらわら出てくるファンタジースペクタクルが、もともとそれほど好きじゃなかったからかもしれません。「バイオハザード」や「トランスホーマー」「インデペンデンス・デイ」のわらわらものは大好きなのに。
 でも、主演はマッド・デイモンだし、アンディ・ラウもカッコイイし、観てみるか、そんなノリだったのですが、これは良かったです、素晴らしかったです。
 万里の長城が魔物から都を守るための防衛線として作られたというのは、伝説のひとつだと解説されていますが、現代の発想のように思えます。SF作家が想像力をふくらませたお話しみたいだと。これほどユニークな物語が伝説として存在するとしたら、中国のむかしの人の想像力もすごいですね。
 禁軍はとってもきらびやかですよ。赤は白兵部隊、黄色は弓兵、青はすべて女性で飛行部隊です。体が軽いと言うのがその理由のようですが、彼女たちは目もくらむような足場の尖端に命綱1本で立ち、城壁直前の饕餮の群れに急降下攻撃を加えます。丈の長い槍が彼女たちの武器ですが、饕餮の肩のところにある眼を討ち損じると跳躍する饕餮に咬みつかれ命を落とします。命綱の操者が懸命にそれを巻き上げて彼女たちを守るのですが、時おり彼女たちのいないハーネスだけが上がってきたりします。守るものを失ったハーネスが山積みされてゆきます。

 英語が話せることでウィリアムと親しくなったリンは、彼を急降下隊の足場に連れて行き、命綱の操者を信じて飛び降りることができるかと尋ねますが、生きるために他人を信用しないことを学んできた彼は、これを拒みます。しかしリンが教えた"信頼"という言葉について彼は次第に考えるようになります。
 これまで、戦って勝ち取ることを生きる全てとしてきた彼は、長城でリンに出会って変わろうとしていました。大義のために仲間を信頼して戦う、それは彼がかつて経験したことがない充実感を彼に与えてくれるのでした。
 敵を知るためにその中の1頭を捕獲しよう、ウィリアムはむかしドイツで見た捕鯨の要領で饕餮を釣ることを提案し、自ら危険を冒して饕餮の群れの中に飛び込みますが、この作戦がのちに饕餮を退けるための重要な鍵になります。
 禁軍のワンに育てられ武術を叩き込まれ、外の世界を知らずに生きてきたリンにとって異国の青年ウィリアムはひじょうに気になる存在となったようです。上からの命令を忠実に守ることを旨としてきた兵士とちがい、彼は自分で考えて行動し、次々にユニークなアイディアを出して見せます。映画では描かれていませんが、世界中のみやげ話をリンはあれこれ聞かされたことでしょう。
 そして最後は2人で力を合せてボス戦に挑みます。恋愛に関しては不器用な2人でも、なかなか良い雰囲気になりましたが、ロマンスの行方については映画で確かめてください。

 マッド・デイモンがカッコイイのは周知のことですが、この映画で特筆すべきは、ヒロインのリンを演じたジン・ティエンでしょう。この映画はまちがいなく彼女の出世作になりました。その知的な美貌でひじょうに多くのファンを獲得したにちがいありません。「キングコング: 髑髏島の巨神」では学術調査チームの一員として出演していましたが、あまり目立つ役どころではありませんでした。たまたまこの映画を観た後にキングコングを観たので、筆者は彼女に気づきましたが、逆だったら気づかなかったでしょうね。いずれにしてもこの映画は彼女の存在を世界的に知らしめることになったでしょうし、今後はハリウッド映画でも活躍しそうです。

 まずは、美術的にすごい映画でした。万里の長城で大軍で魔物の襲来を迎え撃つ禁軍の迫力は圧倒的です。CGを駆使したスペクタクル超大作をたくさん観ていても、この映画の壮麗さ、美しさには息を飲みます。そしてそれに飲み込まれることなく大活躍を見せてくれたヒーロー&ヒロインの名演はさすがでした。

原題:長城 / THE GREAT WALL。
2016年中国/アメリカ、103分、翌年日本公開。
監督:チャン・イーモウ。
脚本:カルロ・バーナード、ダグ・ミロ、トニー・ギルロイ 。
出演:マット・デイモン、アンディ・ラウ、ジン・ティエン、チャン・ハンユー 、エディ・ポン、ペドロ・パスカル 、ウィレム・デフォー 、ルハン、ケニー・リン、ワン・ジュンカイ、チェン・カイ、チーニー・チェン、ホアン・シュアンほか。

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