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シン・シティ【映画】

2017/04/28


 犯罪の街シン・シティで愛と暴力に生きた男たちの物語。
 仮出所中の大男マーヴは自分に唯一愛情を注いでくれた高級娼婦ゴールディを殺され、その復讐に燃えます。保護観察官ルシールの助けを借りて殺人鬼ケビンを突き止めますが、返り討ちに会いルシールもケビンの餌食になってしまいます。それでもマーヴは屈することなく復讐を遂げ、ケビンと食人の趣味を共にしていたロアーク枢機卿ともども葬り去ります。ゴールディが殺されたのは、ロアーク卿の秘密を知ってしまったからであり、彼女は身を守るためにマーヴを頼ったのですが、けっきょくは殺されマーヴは彼女の殺害の濡れ衣を着せられていたのでした。
 整形手術で顔を変えて街に戻ってきたドワイドは、恋人のシェリーにつきまとうジャッキーボーイに制裁を加えますが、逃げて行ったジャッキーボーイとその手下たちを追いかけて、元恋人のゲイルが仕切る女性だけの娼婦街にやって来ます。ジャッキーボーイはそこで見つけた娼婦のベッキーを脅して思い通りにしようと拳銃を抜きますが、それは娼婦街では掟破りで、彼は手下もろとも街を警備するミホに殺されてしまいます。ところがジャッキーボーイの持ち物から、彼が警察官であることが判明、警察との不干渉の掟を破ることになった娼婦街はピンチに陥ります。ドワイドは娼婦街を守るために、ジャッキーボーイたちの死体を隠蔽しようとしますが、ベッキーの裏切りによって娼婦街を手中にしようとするギャング団マヌート一味の襲撃を受けることになります。
 老刑事ハーディガンは、狭心症の苦痛に耐えながら、幼女連続殺人の犯人ロアークJrを追いつめ、その刃にかかろうとしていたナンシーを救出します。多数の銃弾を浴びたロアークJrは再起不能に陥りますが、ハーディガンもまた仲間の裏切りで銃弾に倒れ、あろうことか幼女連続殺人の犯人に仕立て上げられてしまうのでした。ナンシーの身を守るために自ら犠牲になったハーディガンは、禁固刑に処されます。8年の間、ハーディガンの無実を知るナンシーは匿名で手紙を送り続けますが、ある時その手紙が途絶え、ナンシーの身に危険が迫ったことを知ったハーディガンは、容疑を認めて出所し、彼女を探します。今はすっかり大人になっていたナンシーは、酒場の踊り子として働いていましたが、イエローバスタードという怪物に見つかりさらわれてしまいます。怪物はかつてのロアークJrで、治療の副作用で悪臭を放つ怪物と化したのでした。

 基本モノクロ映像でありながら、ところどころに色づけがなされるパートカラーという手法で描かれたバイオレンスアクション映画です。強烈な映像もさりながらストーリーや雰囲気もひじょうに個性的で印象に残るものでした。好き嫌いが極端に分かれる作品でもあるようで、絶賛する人と酷評する人がいます。筆者間もちろん絶賛側で、DVDが出てからもう何度繰り返し観たことやら。そして観る度に新たな味わいが加わります。
 エログロバイオレンスが苦手な人にはかなりキツい内容でしょう。銃弾が雨あられと飛び交い、ドクドクと血が飛び散ります。ただ、モノクロ映像に色づけされた血はリアルなものではなく、ペイントのようです。シチュエーション的にはかなりえげつないです。マーヴはどれだけダメージを加えられてもしばらくすると復活する痛みを知らない怪物で、他人の痛みも解らないらしく、尋問する時には相手を車で引きずって地面にこすりつけたりします。えぐいですね。傷だらけの醜悪なルックスの彼に打算からとは言え愛を注いでくれたゴールディを天使と崇め、彼女の復讐のために身を捧げます。その怪物役をかつてのセクシー俳優ミッキー・ロークが演じていることは、公開当時かなり話題になりました。
 クライヴ・オーウェンが演じるドワイドは、何人も女を持つプレイボーイに見えますが、愛を貫くためにはひじょうに献身的で、かつての恋人ゲイルと彼女たちが管理している娼婦街を守るために命がけの戦いに挑みます。拳銃や機関銃を携えた半裸の娼婦たちが守る街、それを手中にしようとするマフィア、非情で血なまぐさい戦いが繰り広げられます。
 そして本編で最も人情深いエピソードが、刑事ハーディガンと少女ナンシーのお話し。相手が悪いと制する相棒の忠告も聞かずに、幼いナンシーを救うために幼女連続殺人犯を追いつめる老刑事。あと数日で退職して年金暮らしが待っているのに、彼は危険に挑みます。そして凶悪犯ロアークJrを仕留めるのですが、男はロアーク上院議員の息子。金と権力で裏社会を欲しいままに牛耳ってきた凶悪な政治家のひとり息子です。ロアークはろくでもない息子が将来は大統領にもなる人材などと吠え、それを不能者にされてしまったことで激昂し、権力で警察を従わせ、ハーディガン刑事を変態殺人鬼に仕立て上げたのみならず、彼に手術を施して狭心症を治療し、元気で末永く牢獄暮らしを堪能させようとします。怒り狂ったボケナス政治家は息子の不幸のもうひとりの原因である被害者の少女を探し出してなぶり殺すという身勝手な復讐を果たすべくナンシーを探します。

 腐敗し荒廃したシン・シティを巡る愚かな殺し合いは、虐げる者と虐げられる者との抗争なのでしょうか。その人間模様は人間社会を最悪な形で縮図にしたようにも見えますが、愛のために命を賭ける男たちの報われない生きざまは、彼らにとってそれ自体がロマンであるように見えます。彼らは宿敵を憎み、復讐を果たすという形で、むしろこの町を愛しているように見えます。
 人間というものは、まったくどうしようもなく理解しがたい存在です。モノクロ映像のせいか、シン・シティはいつも夜のように見えます。街自体が闇に覆い尽くされています。虚偽と陰謀にまみれた汚穢こそが人間というウジムシの温床になっているように見えます。街全体は腐敗しているように見えても、街のただ中はロマンにあふれています。たとえそれが血と銃声に彩られたロマンであっても。

 この作品は、モノクロ映像がとてもよく似合います。そして時々局部的に色づくパートカラーの手法がじつに鮮烈です。女性だけがカラーで浮かび上がったり、瞳だけが色づけされていたり。アクションシーンがネガ映像になり、アニメのように見せるのもおもしろいです。
 最近は、実写のようにリアルなアニメが映像革命をもたらしていますが、これはアニメのような実写という技術を逆手に取ったような手法がユニークで、しかも成功しています。この手法はどんな映画にも応用してよいものではなく、シン・シティだからこそ似つかわしいと言えるでしょう。
 また、映像もさりながら、それぞれのパートの主人公の独白でお話しがつづられるのも、復讐に魂を燃やす男たちの孤独を表現していて"らしい"と思いました。それぞれのパートは別々のお話しになっていますが、まったく無縁のものでもなく巧妙につながっていたりします。
 何度も観ましたけれど、今後も観る度に新たな発見ができそうです。

原題:Sin City。
2005年アメリカ、124分。同年日本公開、R15+指定。
原作:フランク・ミラー「Sin City」。
監督、脚本:ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー。
特別監督:クエンティン・タランティーノ。
出演:ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、イライジャ・ウッド、ジョシュ・ハートネット 、ブリタニー・マーフィ、デヴォン青木 、ロザリオ・ドーソン 、ニック・スタール 、マイケル・クラーク・ダンカン、ルトガー・ハウアー 、マイケル・マドセン、ジェイミー・キング、アレクシス・ブレーデル、カーラ・グギノ、ジェシカ・アルバほか。

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