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暗黒女子 その2 【小説】

2017/04/24


 原作小説にひじょうに感動したあと映画を観ると、残念なところがあれこれ目についてしまうというのは、よくある話しですね。この作品の映画評の中にもそうしたものがチラホラ目につきました。これは多くの人が様々な作品で経験していることだと思います。小説やコミックがアニメ化された際に、イメージしていた声とちがう、キャラが変わってしまっている、そんな感想を抱くことは少なくありませんよね。これが実写化になるとさらに顕著になります。実写版はもはや別物だ、名前だけでまったく別のキャラになってしまっている、そんな感想を持った経験は誰しもお持ちのことでしょう。
 もちろん、筆者にもそんな経験はたくさんあります。逆に映画化された作品が素晴らしく思えることも少なくありません。日本のゲームがハリウッドで実写化されたものには成功例が多いですよね。筆者的には、この暗黒女子の映画化は大成功だったと思うのですが、それは先に映画を観たせいなのでしょうか。
 先に原作を読んだ方の映画評に「原作を読まずにこの映画を観てストーリーや内容が理解できるのだろうか」「展開が目まぐるしすぎて、原作を知らない人はお話しについてゆけないのではないか」といった感想を述べておられるものがいくつか目につきました。筆者も覚えがあります。すぐに思いつくのは「アズミ・ハルコは行方不明」でしょうか。予習なしに頭に入るのか、そんな心配をついしてしまうんですよね、先にお話しを知ってて映画を観ると。でも「暗黒女子」に関しては予習なしに映画を観て、しっかり内容が解りましたよ。

 この作品に関しては、先に映画、あとから原作小説だったわけですが、両方ともひじょうに素晴らしかった。小説版では、文学サークルのメンバーに映画版にはいなかった古賀園子という医師志望の生徒が存在しているので、闇鍋朗読会での小説の朗読者がひとり多くなっています。それゆえに、いつみを殺害した犯人として告発される生徒も一部が入れ替わっているわけですが、お話しに影響はありません。
 結末もほとんど同じですが、筆者は映画のエンディングの方が好きですね。
 また、小説では文学サークルのメンバーが闇鍋朗読会でお互いを告発し合うことになった理由というか仕掛けというか、それがより納得できる説明がなされていました。こういったところは小説の強みですよね。映画だと語り過ぎると尺が取られすぎて話しのテンポが狂ってしまいますし。

 以下はネタばれになります。全校生徒の憧れの的であるいつみの豹変ぶりは映画版の方が具体的だと感じました。誰もが憧れる非の打ちどころのない才色兼備のいつみが、じつはひじょうに傲慢な女性で、自らが主人公として輝くために、優等生たちを文学サークルに引き入れ、脇役を演じさせたのみならず、自分を殺害した犯人として全員を容疑者に仕立ててしまう、サークルの生徒たちはみごとにそれに踊らされてしまう。本性を現したいつみの様子は、小説版では小百合の朗読するいつみの小説の中にしか現れませんが、映画版では豹変した彼女がサークルのメンバーに悪態をつくという、なかなか迫力のあるシーンとして表現されています。
 表向きは投身自殺ということで処理されたいつみの死も、彼女によって仕組まれ、小百合が全面的にその手助けをしたわけですが、いつみが自らの死を偽装して第2の人生を歩もうとすることになる経緯については小説版が詳しいですね。
 教師である北条との恋愛そして妊娠。それを引き裂いた学園の経営者である父。いつみはお腹の子と恋人を奪った父を裏切り、文学サークルのメンバーを陥れて自らの死を偽装して第2の人生へと逃げて行きます。
 協力者である小百合は、そんないつみの生きざまに共感し共犯者を買って出たわけですが、いつみの最後の我がままを許すことができなかった。で、彼女のしたことは……。最強の暗黒女子は、澄川小百合だったわけで、映画版でも彼女の存在は卓越していました。
 すずらんにまつわる手法で文学サークルの生徒たちを落とし入れたいつみを、すずらんの毒で制裁した小百合。そんな彼女にこそ、映画のエンディングがより相応しい、そう思いました。

 おもしろい作品でした、映画、原作小説ともに。ストーリーやコンセプトの素晴らしさはもとより、なによりも筆者が気に入ったのは雰囲気ですね。清楚なミッション系女学院の中でもひときわ清楚で高貴な生徒がじつは暗黒女子だった、このシチュエーションは謎解き要素やストーリーのおもしろさを置いても、魅せられる要素ですね。

2016年6月出版 双葉社。
著者:秋吉理香子
双葉社『小説推理』に連載。2012年12月号〜2013年3月号。

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