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ある優しき殺人者の記録

2017/04/16


 女性ジャーナリストのキム・ソヨンは、精神病院から脱走して18人を殺害したパク・サンジュ容疑者から電話を受け、その指示に従って日本人カメラマンを同行し、サンジュに会いに行きます。指示されたとおり廃墟になっているマンションの5階を訪れると、包丁を持ったただならぬ様子のサンジュが待っていました。
 サンジュがソヨンを呼んだのは偶然手に入れた雑誌に彼女の記事が載っていて、それを読み彼女なら自分を理解してくれると確信したからだということでした。サンジュは、自分は異常者ではなく神のお告げに従って人を殺しているのだと主張します。
 報道されている18人のほかにも7人、合計25人を自分はすでに殺しており、神託に従ってあと2人殺すと言います。では呼ばれたソヨンとカメラマンがその2人なのでしょうか。そうではなく、ソヨンはこの殺人に彼女も深い関係があるからで、カメラマンには今から起こる奇跡を細大漏らさず撮影し、ドキュメンタリーとして公表してもらいたいからでした。
 サンジュは古いビデオムービーを2人に見せます。そこには幼い頃のサンジュと2人の女の子が映っており、そのひとりはソヨンでした。そしてもうひとりの女の子ユンジンが走ってきた車に轢き殺されるところでムービーは終わります。
 神託によると、サンジュが27歳の時に27人を殺せば、ユンジンは生き返り、彼が殺した人たちも生き返ることができるのだそうです。
 ソヨンの前で、サンジュンは神託のひとつを示して見せます。彼が偶然手に入れた雑誌のソヨンの写真のあるページの行頭の文字をつなげると、残りの2人が何時何分に現れること、2人の首にあざがあることなどを告げています。神託はこれまでも思いもつかぬ形でサンジュの前に現れ、彼はそれに従って行動し、これまで警察に捕まることもなく連続殺人を続けてきたのでした。
 編集部からソヨン宛てに電話がかかってきた時にも、後半は雑音で会話にならず、とぎれとぎれに発音された文字をつなげると、やはり最後の殺人のことを告げていました。これらは偶然の出来事なのでしょうか、それとも。
 サンジュがカメラマンに日本人を指定したのは、最後に殺す相手が日本人のカップルだからで、その2人は神託どおりの時間に彼らの許を訪れました、けっして誰も近づかないはずの廃墟のマンションに。

 予告編を観る限りでは、猟奇殺人鬼を取材する女性記者をカメラマンの目線で追うドキュメンタリータッチのスリラーという感じでした。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「パラノーマル・アクティビティ」や「クローバー・フィールド」みたいなカメラが体験者として物語にすっぽり入っていて、そのカメラ目線でお話しが展開するってやつですね。この映画では白石監督が日本人カメラマン田代に扮し、登場人物として彼のカメラ目線でドラマが展開します。
 ソヨンが田代と共に廃墟のマンションに侵入する前は、優しき殺人者というタイトルと、事件の裏には何かがあるという思いとで、サンジュが実は殺人鬼ではないのではないか、真犯人を見つけ出すためにソヨンたちに協力を求めているのではないか、そんな疑いを抱いていました。ところが現れたサンジュは目を血走らせて包丁を振り回し、18人殺したという報道はウソで、実際には25人殺していると主張するのでした。
 やはりこいつはとんだサイコ野郎なのだ、と思いきや彼が主張する神のお告げというのが次々と出現します。偶然入手した雑誌に幼馴染のソヨンが載っていたこと、そのページの記事の行頭の文字を縦に読んでゆくと、最後の2人の殺人を具体的に指示していること、そして神託通りに日本人カップルが登場します。人の寄り付かない廃墟に、時間きっかりに。
 こうなると事態はサイコパスによる猟奇殺人から、怪奇現象じみてきます。閉塞的な廃墟の1室でいったい何が起きているのでしょう。しかも室内にはすでに2体の死体が。この2人はサンジュが最後の2人だと信じて拉致してきたものの、2人の間に愛が不在だったため殺人リストから外したのでした。サンジュによって縛り上げられ、愛を確かめるためと称して虐待されて血まみれの2人は、別室に軟禁されていましたが、サンジュがこの部屋に引きずって来てソヨンたちの目の前で息の根を止めたのでした。
 狂気はさらに続きます。神託どおりにやってきた日本人カップルというのが、どうしようもないヤンキーで、目の前に死体が転がっていても動じず、バットで殴り倒されても喧嘩上等とばかりに応戦してきます。サンジュは、どうにかこうにか2人を縛り上げ、女を凌辱されたくなかったら首を吊って愛情を証明しろと指示しますが、男はまったくひるむことがなく「見ててやるから犯してみろ」とすごんで見せます。男がサンジュに判らない日本語で田代にささやいたことには、2人はセックスに他人を介入させることでいっそう燃える性癖の持ち主だとのことでした。もはや幼くして死んだユンジンを生き返らせるために苦行を続けるサンジュの方が善人に見えてきます。
 それからは壮絶な修羅場です。この映画は韓流作品と言うよりも、日本人監督による韓国で撮られた日本映画というべきなのでしょうが、最後の修羅場の血みどろの戦いは、韓流映画の臭いがしました。

 この後いったいどうなってしまうのでしょう。ここではネタばれはグッとこらえることにしますが、筆者はエンディングがなかなか良かったと思いました。
 この作品を評したとあるネット上の記事に、白石監督とその作品を知らない人の方が、楽しめるとありましたが、筆者はそれに該当する観客でしたから、より新鮮味があったのかもしれませんね。
 観てしばらく経ってから、いろんな思いが込み上げてくる、そんな作品でした。

2014年韓国/日本、86分。同年公開。R15+
監督、脚本:白石晃士。
出演:ヨン・ジェウク、キム・コッピ、葵つかさ、米村亮太朗ほか。

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