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パッセンジャー【映画】

2017/04/12


 大型宇宙船アヴァロン号は、120年をかけて人類が移住可能な惑星まで旅をしています。すべて自動制御された宇宙船の中では、宇宙船のクルーも5000人ものパッセンジャー(乗客)も人口冬眠で生命を維持しています。そうしたなか技術者のジムだけが目覚めてしまいます。目的地到着まであと90年、他に目覚めた乗員はいません。しかも船内の施設では再び冬眠に入ることは不可能だと判りました。
 あと90年、ジムの寿命は確実に船内で尽きることになります。地球にメールすると返信が届くのは55年後とのこと。彼の孤独を癒してくれるのはアンドロイド・バーテンダーのアーサーだけでした。
 彼は船内のあらゆる環境を自由に利用し、宇宙遊泳も楽しみました。あるいは宇宙船のクルーを目覚めさせようとも試みましたが、スタッフの区画は厳重にシールドされており破ることができません。
 そうやって約1年、物言わぬ冬眠状態の乗客の中のオーロラという女性に彼は心惹かれ、あろうことか緊急に冬眠を解除させる方法を見つけてしまいます。苦悩の末、ジムはとうとう彼女を目覚めさせてしまうのでした。目覚めたオーロラは目的地まであと90年近くかかることを知り、新天地を見ることなく生涯を負えることが判ると絶望し、嘆き悲しみます。ジムは自分が彼女を目覚めさせたとはとても言えません。
 それにしても、幾重にもセイフティ機構が施された冬眠装置が途中で乗客を起こしてしまうことは理論的に考えられません。ジムが目覚めさせられたのには重大な理由があったのです。

 新しい惑星への移住計画と言えば、地球が環境破壊や資源の浪費によって居住困難な惑星になり、第2の地球となる星を見つけてそこへ移り住むというイメージがありますが、このお話しではそうでもないようです。地球上では大勢の人々が当たり前の暮らしを続けており、アヴァロン号での旅は、言わば資産家やエリートたちの試験的なアドヴェンチャーであるようです。
 アヴァロン号の船内の美しさ、素晴らしい機能には目を見張ります。これほどの技術が実現するのはどれほど未来のことなのでしょう。ジムとオーロラは、宇宙船が新天地に着くまでは生きながらえないと絶望しますが、これほどの科学技術がある未来なら、人類は200年くらいは健康で若々しく生きていられるんじゃないのか、そう思いました。人口冬眠中の人たちも霜の拭いた凍結状態ではなく、健康そうな顔色でやすらかに眠っています。若さと健康を維持するための科学技術は進んでいると思うのですが。そうなるとジムとオーロラは、2人だけの気ままな宇宙生活を90年ばかり楽しんだ後、新しい惑星で残りの人生を送ることができますよね。
 でも映画では、彼らは我々現代人と同じく、成人男女があと90年も生きることは不可能、船内で生涯を負えることは確実ということになっています。どんなに大型でどんなに豊富なアトラクションが用意されていたとしても、若い男女が生涯を限られた空間で過ごさなければならないというのは、オーロラが言うように死刑宣告を受けたようなものでしょう。
 でも、ジムが目覚めさせられたのには理由があったのです。彼が技術者であるということを考えれば、技術的な問題が発生したと予想がつくかと思います。ところが船のコンピューターはそのことを伝えてはくれませんし、アンドロイド・バーテンダーのアーサーも何も知りません。お話しのサスペンスを盛り上げるためにわざと黙ってるのかよぅって思いました。
 書いてていろいろ突っ込みどころあるなぁ、と気づいたのですが、決して残念な作品ではないので。筆者大絶賛の傑作なのでおまちがいなく。
 とにかく映像の美しさに目を奪われます。こんな宇宙旅行生活には憧れてしまいます。冬眠期間中、交替で2〜3年ずつ目覚めて船内生活を満喫するようにしてほしい、そう思いました。
 ただ、アヴァロン号は民間企業のプロジェクトで、そうとうセレブでないと乗船できないようで、売れっ子作家のオーロラには優雅な食事がふるまわれますが、一介の技術者であるジムが飲食できるものはなかなか味気ないメニューになっています。未来になっても格差社会は健在です。

 なかなか優雅な未来図を見せられたせいで、あれこれと思いを馳せてしまいましたが、宇宙船の中でひとりジムが目覚めさせられた理由を見つけ出し、それに対処するために奮戦するエピソードはお話しの中核になっているのですが、ジムとオーロラは絶体絶命のピンチを協力して潜り抜け、結果的に彼女を目覚めさせてよかったという結末を迎えます。
 2人の尽力により、アヴァロン号の問題は解決され、無事に目的地へ向かうことになります。けっきょく2人は船内で生涯を終えることになるのでしょうか、それとも一発逆転劇が発生するのでしょうか、それは観て確かめていただくとして、おそらくこの結末を予想するのは難しいと思いますよ。
 映画を観ている最中にふと思ったのですが、ジムとオーロラがけっきょく新天地を見ることができないなら、2人で子供を作って、その子たちに夢を託すというのはどうでしょう。もっとも子供たちも90歳近くになってようやく惑星に降り立つことができるわけですが。それならあと数人目覚めさせて船内で3世をもうけますか。宇宙船の限られた環境の中で幼少時代や青春時代を過ごした子供たちが、老齢になって初めて広大な惑星環境を目にするとしたら、彼らはどんな感慨を抱くでしょう。宇宙開拓時代の到来は、人類に現代とは次元の異なる新たな体験をもたらし、世界観も大きく変わってゆくのでしょうね。

原題:PASSENGERS。
2016年アメリカ、116分。日本公開は2017年
監督:モーテン・ティルダム 。
脚本:ジョン・スペイツ。
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーンほか。

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