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お嬢さん

2017/03/29


 日本統治下の朝鮮でのお話し。詐欺師の家族に育てられた少女スッキは、ある時大きな仕事のために上月家という日本の富豪の家にメイドとして潜入します。そこで彼女は、屋敷でほとんど幽閉状態で暮らしている令嬢秀子の専属として使えることになります。じつはこれも作戦のうちで、のちに屋敷を訪問する詐欺師仲間の藤原伯爵に秀子が惚れるように仕向け、伯爵との偽装結婚を成功させ、彼女の財産をいただいてしまおうというのでした。
 屋敷の主上月は姪の秀子を幼い頃から特殊な英才教育を施して育ててきました。秀子は、幼い頃から春本の朗読をさせられ、年頃になると、偏執的な性癖を持つ金持ちたちを集めて、その前で朗読を披露させられて来ました。
 秀子と暮らしを共にし、彼女の悲しい半生に触れるにつけ、スッキは次第に秀子に情を寄せるようになり、秀子もまたスッキを愛しむようになりました。2人は人知れず体を重ねたり、2人だけの秘め事を楽しむようになりました。
 藤原伯爵はじばじば上月家を訪れるようになり、秀子は次第に彼に惹かれて行き、伯爵とスッキの作戦は着々と進みました。ある時、上月が所用で家を空けることになると、伯爵は秀子を幽囚から解き放つ好機と言って彼女との駆け落ちを成功させます。2人はそのまま日本に逃げ延び、挙式をすませ結婚の既成事実を作ってしまうのでした。ただ、駆け落ちの条件として秀子はスッキの同行を希望し、伯爵はこれを快諾、逃避行は3人連れとなりました。
 最初の作戦では、結婚が成立して秀子の財産を合法的にものにした後は、秀子が精神に異常を来したということで精神異常者を扱う施設に入れてしまい、財産を伯爵とスッキがいただいてしまうはずでしたが、作戦が大詰めを迎えた際に、思わぬハプニングが起こります。

 2005年に発表されたサラ・ウォーターズの小説「荊(いばら)の城」を原作にした官能サスペンスです。原作はヴィクトリア朝時代のお話しで、スリ師の親に育てられたスーザンが、城に幽閉された令嬢モードのメイドとして潜入します。
 スッキ役のキム・テリと秀子を演じるキム・ミニの大胆な濡れ場で成人指定になりましたが、世界各地でたくさんの賞をとっているみたいです。成人映画としては快挙ですね。もっとも性的興味を前面に出したエログロ作品ではなく、美的センスのたいへん高い映像になっています。パク・チャヌク監督作品では「オールドボーイ」以来の問題作でありヒット作ではないでしょうか。あの作品は、残酷シーンがなかなかキツかった。

 日本統治下の朝鮮、そうした時代背景については筆者はほとんど知識がないのですが、この作品のように日本人の富豪が朝鮮に居を構え、そこで朝鮮人の使用人を雇うといったことは普通に行なわれていたのでしょうね。
 上月は年若き令嬢に高価な着物を着せ、同じ嗜好を持つ金持ちを集めてエロ小説の朗読を披露させるという禁断の快楽に明け暮れています。秘密の朗読会は屋敷の知られざる地下室で行なわれ、そこには膨大な数のエロ小説や春画がコレクションされています。ふんだんにお金をかけたその趣味は、彼らにとっては高尚な美学なのかも知れませんが、映画を通して見ている側にとっては、悪趣味な金持ちの愚行にしか見えません。その犠牲になった秀子がひじょうに憐れです。それゆえに泥の中に咲いた美しい花のような独特の美しさがあります。
 秀子役のキム・ミニは多くのセリフが日本語で、エロ本の朗読では日本人が見ても圧倒されるような長ゼリフをつつがなく吐いてゆきます。これはなかなかすごいです。じゃっかんの韓国訛りを残すもののひじょうに流暢な日本語で、訛りがあるところがかえって高度な芸に感じられます。

 ストーリーもひじょうにおもしろいです。藤原伯爵とスッキの仕組んだ罠に、秀子はうまい具合に落ちて行くのですが、いよいよ最後の仕上げというところで思わぬどんでん返しがあります。それも1度にとどまらず。無表情で世間知らずの秀子ですが、そのまま可愛い人形にとどまりません。また、スッキと情を交わす仲になってゆくことも結末を大きく左右します。ここまで言ったら聡明な読者にはネタばれになってしまいますか。
 ストーリー展開がスリリングで、映像が鮮烈で、とにかく見どころいっぱいです。耽美主義文学を旨とした文芸作品の重厚さと、サスペンスのおもしろさを両立させた大作です。

2016年、145分。日本公開は2017年。R18+
原作:「荊の城」 サラ・ウォーターズ。
監督、脚本:パク・チャヌク。
脚本:チョン・ソギョン。
出演:キム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、キム・ヘスク、ムン・ソリほか。

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