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恋妻家宮本【映画】

2017/02/24


 50歳になる中学の国語教師宮本陽平は、優柔不断な性格で受け持ちの生徒たちからも軽んじられがちです。とくに優等生のメイミこと菊池原明美の冷ややかな視線が胸に突き刺さります。いつもお調子者のドンこと井上克也の様子が最近おかしいことにも気づいているものの、なかなか声をかけてやることができずにいると、メイミから「先生って冷たいですよね」とたしなめられてしまいます。
 家庭訪問でドンの家を訪れた宮本は、ドンの母親が不倫中に事故に遇って入院していることを知り、彼の心中を察して焦ります。不倫のことでドンの母親を見下し家を仕切っている姑が、ドンはうとましく、ある時ついに「おばあちゃんの作ったご飯なんか食べない」宣言をしてしまいます。それを知った宮本は、ドンを料理クラブに誘いますが、なかなか上手くゆきません。
 宮本は最近、料理教室に通い始め、学校でも料理クラブを作ろうとしていたのですが、入部希望者が現れません。料理教室でチームを組んでいる五十嵐真珠は夫との不仲を愚痴ってばかりですし、結婚をひかえた門倉すみれは婚約者の浮気が発覚し、料理教室を辞めてしまいます。
 どこへ行っても家庭不和の話しばかり。そこへ来て宮本は、妻の美代子が隠し持っていた離婚届を見つけてしまいます。美代子とは結婚して28年になりますが、つい先頃ひとり息子の正が結婚して家を出て行ったばかりでした。これから妻との2人暮らしが始まるというところへ、周囲の家庭不和が宮本家にも降ってわいたわけです。
 離婚届のことを妻に問いただそうと、何度もそのシーンを頭の中でシミュレートしてみるのですが、優柔不断な性格が災いしてなかなか言い出せません。料理教室で一緒の五十嵐真珠にそっと相談してみると、それは美代子の浮気だと断言します。思えばドンの母親の不倫を見て来たばかり、焦る宮本。そこへ唐突に美代子が息子の家に行ってくると出て行ってしまいます。

 恋妻家宮本って、なんだか変なタイトルだと思いません? 筆者はいまだにしっくり来ないものを感じるのですが、いかがでしょう? 原作は読んでいませんが「ファミレス」というタイトルから、ファミレスを訪れる人々の人間模様を描いた群像劇のイメージがわき起こりますが、そこから離婚の危機にあせる宮本をクローズアップしたことから、映画はこのタイトルになったのでしょうか。
 "その夫婦は、離婚届から始まった" という予告編のキャッチフレーズはインパクトありますねぇ。たまたま参加した大学仲間との合コンで、売れ残った女子とたまたま付き合うことになり、その彼女から妊娠を告げられて成り行きで結婚し、現在に至った宮本陽平と美代子。なんとなく流されて今日まで来たけれど、これまでの人生のいくつかの局面で選択を誤って来たのではないか、宮本は自分の人生を振り返ります。あの時、結婚を拒否し、作家になる夢を目指していたら、名の知れた小説家になって悠々自適の暮らしを送っていたのかもしれない。
 しかし現実は厳しく、まじめに忠実に仕事と結婚生活をこなしてきた宮本は、妻から三行半(みくだりはん)を突き付けられようとしています。「あなたって結婚に向いてないよね」「不満はないけど、不安はあるのよ」妻の言葉が胸に突き刺さります。いったい何をどこで間違ってきたのか。

 ある時、姑が不在のドンの家に上がり込みドンに料理を教えていたところへ、姑が帰宅してしまいます。姑は言います「自分はじっと耐えて家族に献身してきた。それなのにこの子たち(ドンとその妹)の母親は、子育てを放り出して不倫にうつつを抜かしている」その母親のために弁当を作ろうというドンの思いを州都は一蹴してしまうわけですが、そこで宮本はおそるおそる答えます「それは正しいことかも知れませんが、〇〇がない」宮本が言う〇〇が姑の心にも響きました。その時に、宮本は自問したのでしょう。自分は正しいことをまじめにやってきたつもりだ、でもそこに〇〇はあったのか。
 〇〇に当てはまる語句は何か考えてみてください。答えは映画本編にありますが。宮本は決意し、帰宅すると、せっせと料理を始めます。優柔不断の宮本は、果たして自分の思いを妻に伝え、危機を脱することができるのでしょうか。

 監督、脚本は「家政婦のミタ」「女王の教室」といったヒット作を世に送り出し続ける遊川和彦ということで、おもしろくないわけがないという触れ込みでしたが、予想以上におもしろくて、考えさせられて、感動的でした。かく言う筆者も50を過ぎ、結婚生活も30年を過ぎ、考えさせられることも少なくありませんでした。かと言って熟年夫婦にお勧めというわけではなく、小中学生からご老人まで、誰もが泣いて笑える作品だと思います。
 劇中に頻繁に登場するファミレスに、お話しの登場人物たちが入れ替わり立ち代り時間を超えて訪れ、お店はお話しの交差点になっています。原作のタイトルが「ファミレス」と知ってなるほどと思いました。この構成もおもしろいですね。イメージソングとして吉田拓郎「今日までそして明日から」がたいへん技巧的に使われています。これがまた素晴らしい演出ですね。
 遊川和彦はこれが映画初監督だそうですが、最初からこれほどの力作を作ってしまっては、今後が大変ですね。

2017年、117分。
原作:重松清「ファミレス」
監督、脚本:遊川和彦 。
出演:阿部寛、天海祐希、菅野美穂、相武紗季、工藤阿須加、早見あかり、奥貫薫、佐藤二朗、富司純子、入江甚儀 、佐津川愛美、浦上晟周、紺野彩夏、渡辺真起子、関戸将志、柳ゆり菜ほか。

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