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エヴォリューション【映画】

2017/01/13


 10歳の少年ニコラは、母親と2人で貧しい孤島で暮らしていましたが、その島ではすべての子供たちが同じで、家族構成は母ひとり子ひとり、父親あるいは若い娘はいません。ニコラは寡黙な母親から毎日ある薬を飲まされ、そのことを疑問に思っていましたが、彼の友人たちは同じように薬を服用させられながら不信感を抱いている様子もありませんでした。
 ある時、ニコラは海底で死体を発見しますが、母親が海に潜って調べると何もないとのことでした。
 ある夜、母の不在に気づいたニコラが海岸に行くと、島の女(母親)たちが全裸で浜に横たわり、小さな胎児を回しながら快楽に耽っていました。その中に母の姿もありました。帰宅しシャワーを浴びる母の背中にはタコの吸盤のようなものがありました。
 やがて少年たちは病院に収容され、お腹に注射を打たれます。何人かの少年は集中治療室に入れられてしまいます。病気の自覚もないのに治療を受けることにまたニコラは疑念を持たずにはおれませんでした。彼は友人が収容された病室を除き、そこで友人が拘束されて水槽に浸けられているの発見します。

 2004年に「エコール」で不思議な少女たちの学校を描いた女流監督ルシール・アザリロヴィックが、11年ぶりにメガホンをとった映画です。「エコール」では少女たちが幽閉されている森の中の学校を描いていますが、この作品では少年たちが文明社会から隔絶された孤島に幽閉されています。少年たちのほかには、彼らの母親たちしか、この島にはいません。
 ニコラの母親は荒れた海に平然と飛び込み、長時間水中に潜っていることができます。母親と言えども感情がほとんどなく話すこともあまりありません。毎日ニコラに服用させる薬について説明することもありませんし、彼を病院に収容する時もなにも語りません。
 ニコラのある友人は、大人になるために必要なのだとか言っていましたが、島には大人はひとりもいません。男たちは大人になると島を出て行くのでしょうか。

 水槽に浸けられている友人を目撃したニコラは、ついに自分も同じ運命をたどることになります。ある時目を覚ました彼は、水槽の中で身動きできない状態で、お腹には小さな奇妙な胎児がくっついているのでした。

 女たちは、未知の海洋生物が進化(エヴォリューション)し、胎児を人間に寄生させて繁殖するようになったものらしいですよ。逆に人間が海洋生活に適応できるように進化した結果なのかもしれませんが。
 また、島には若い女性たちしかいませんが、この"生き物"は女性しか存在せず、単為生殖あるいは同性交配による生殖をするのでしょうか。胎児は人間の子供(映画の中では男児限定)に寄生させないと発育できないようです。初期の胚を子供の体内に移植され、あるていど発育すると取り出され、さらに体外寄生をしながら宿主から栄養を取り続けるようです。島の子供たちは誘拐され集められた人間の子供たちなのでしょうか。
 毎日飲まされる薬には、子供たちの記憶と感情を抑える効果があるのでしょうか。子供たちは感情が欠落しており、自分たちの置かれた現状にも不満や疑問を抱いていないようです。そうした中でニコラだけが唯一、今の状況の理不尽さに気づき疑問を抱くようになったようですね。

 ニコラが手に怪我をした時、母親は麻酔もせずに傷口を大きな針で縫い、ニコラも大して痛がっている様子はありません。
 この映画は、全編を通じて感情と会話が欠落しています。会話がまったくないわけではないのですが、必要最低限の会話しかありません。したがってアメリカや日本の大仰に悲鳴を上げる系のホラーとはまったくちがった底冷えのする恐ろしさが、静かに影のように漂っています。
 前作「エコール」と同じように設定や状況は疑問だらけです。そして疑問の数々に答えが出されることはありません。答えを求めることがそもそもナンセンスなんですね。シチュエーションホラーと申しましょうか、意味もなく置かれた状況の恐ろしさを堪能するのが正解なのでしょう。

 いつまで経っても釈然としないお話しが、淡々と続きますから、退屈してしまう方もいるかもしれませんが、それでも最後まで目が離せないでしょう。感情のない島の女性たちの中でステラという看護婦だけは、ニコラに心を開きます。水槽の中で胎児に外部寄生されているニコラを助け出し、ボートに乗せたらお話しはもうすぐラストなので、あと少し頑張って見届けましょう。
 たとえ退屈を覚えた観客でも、あとかわジワジワと様々な感情が湧いてきて、もう1度この静かな衝撃を味わってみたい、そう思うかもしれません。筆者の場合も観た直後よりも後からかなり来ました。そういう得も言われぬ心理効果を持った映画です。ぜひお試しあれ。

原題:EVOLUTION。
2015年フランス/ベルギー/スペイン、81分。日本公開は2016年
監督、脚本:ルシール・アザリロヴィック。
脚本:アランテ・カヴァイテ。
出演:マックス・ブラバン、ロクサーヌ・デュラン、ジュリー=マリー・パルマンティエほか。

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