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アナザー・プラネット【映画】

2016/12/28


 17歳でMITに合格したローダは、前途洋々たる人生を満喫していました。少女の人生はまさにバラ色に輝いていました。そんな折り、地球とまったく同じ星が突如として出現し、やがてそれは夜空に青い姿をくっきりと浮かべました。夜、車を運転していたローダは、その不思議な現象に見惚れ、信号待ちをしていた車に衝突してしまいます。ローダ自身は軽い怪我で済んだのですが、当てられた車は大破し、幼い男の子と妊婦が犠牲になりました。
 ローダは、交通刑務所に入り、4年の歳月が経過しました。出所した彼女にもはや明るい未来はありません。大学へも通えず、職業安定所で学校の清掃員の仕事をもらい、失意のままただ生きているだけの暮らしが始まりました。徐々に接近しつつあるもう1つの地球は、今では月よりも大きく昼夜を分かたずその姿を見ることができました。4年前、それに見惚れて人生を棒に振ってしまった彼女を、それはあざ笑っているようでした。
 事故現場で玩具のロボットを備える男の姿を認めたローダは、妻子を失った彼の家を訪ねました。しかしながら自分の正体を明かして謝罪する勇気が持てず、ハウスクリーンサービスのお試しキャンペーンと偽ってしまいます。無料ならばと招き入れられた男ジョンの家は、荒れ放題で掃除すると言えどもどこから手を付けてよいか分からないほど。それでもローダは誠意を込めて掃除を始めました。
 絶望の果てすさんだ独り暮らしを続けていたジョンですが、ローダの献身ぶりに少しだけ心を開き、来週から正式に来てもらえないかと依頼します。こうしてローダは週に1度ジョンの家を訪れ、荒れ果てた家を少しずつ片付けて行き、床や家具に磨きをかけました。
 最初は寡黙だったジョンが話しをするようになり、車の運転は危険なので電車で通っているというローダを家まで送りました。その頃からジョンにとってローダは大切な存在になりつつありました。ジョンに笑顔が戻り、2人の週1ながら充実した暮らしが始まりました。
 ところが、ジョンが小切手で支払っている給料が換金されておらず、彼女の言う会社に問い合わせても彼女の在籍が確認できません。問い詰められたローダは、真実を打ち明けるしかありませんでした。

 激昂したジョンは、ローダを追い出し、2人の仲はそれまでになってしまいました。独りになったローダには、それでも夢がありました。もう1つの地球を訪問する企画に応募し、メンバーに選ばれたのでした。当選結果はジョンと付き合っていた頃すでに判っていましたが、ジョンは危険な未知の旅の彼女を送り出すのには反対でした。
 いよいよ出発の日が近づくと、ローダはあることに気づき、無我夢中でジョンを訪れます。彼女を断固として拒絶するジョンに向かってローダは叫びます。一説によると、もう1つの地球は、地球から確認できるようになって以降シンクロしなくなった。星との交信により自分たちとまったく同じ人間が住んでいることが確認されているが、以降の人生はちがっている。

 原題「Another Earth」はもう1つの地球という意味ですが、日本語タイトルはアナザープラネットすなわちもう1つの惑星に変更されています。原題のままあるいはその直訳では、なにか不都合があるのでしょうか。だれがどう見てもこの映画に登場するのは、もう1つの地球です。
 この作品は、SFではないですね。一瞬の過失で輝かしい人生を棒に振ってしまうローダと、一瞬の出来事で妻子を失くし転落してしまうジョンとの出会いを描いた人間ドラマです。自分は何でもできると慢心していたローダを、もう1つの地球の到来は彼女を地獄に突き落とします。そしてその道連れとなったジョンは、今度はもう1つの地球に希望を見出すことになります。
 地球と同じ大きさで同じ地形で、交信してみると自分たちと同じ人間が住んでいる、そんなものが突然降ってわいたら、人生の絶頂から一瞬の過ちで地獄に突き落とされることになったら、未成年ということで身元も確認できない相手に突如愛する妻や子供を殺されてしまったら、そんな"もしも"が錯綜する人間ドラマです。
 この作品の真意を知ることは容易ではありません。訳が解らずに見ていると退屈な作品になってしまうかもしれません。ただ、この先どうなるのだろうという思いが観客を作品につなぎとめてくれるでしょう。
 学校の清掃の仕事で、ローダは同僚の老人とお近づきになります。うわさによると老人は自ら耳をつぶし、聞こえなくなっているのだそうです。あるときその老人が学校に来なくなりました。聞けば今度は目をつぶして入院してしまったと言います。ローダは病室に横たわる老人を訪ね、彼の手を取り、手のひらに指で文字を書きます。「自分を許してあげて」老人もまた過去の過失を悔いながら生きていたのかもしれませんね。その言葉を彼女自身にも言ってあげてほしかったですね。
 ジョンと交際中にローダが語った宇宙飛行士のエピソード。孤独の宇宙飛行士が航海し始めてすぐに、奇妙なノイズに気づきます。小さいけれど気になるその音は原因も判らなければ消すこともできません。まだ先が長くこんな不可解な音を聞かされ続ければ気が狂ってしまう、そんな危機感から逃れる道はただ1つ、その音を愛するしかない。発想の転換によって宇宙飛行士は、残りの航海を快適に過ごすことができた。
 老掃除夫と宇宙飛行士の話しは、何かを背負ってしまった人に重要な教訓を語っていますね。
 そして衝撃のラスト、一瞬で終わってしまうこのシーンの意味することについて考えると、大きな希望が湧いてくるような、あるいは背筋がゾクっとするようななんとも言えない気持ちになります。観客によって受け止め方は様々でしょう。ひとつの落ちとして、なるほどね、といった感想をいだく人もいるでしょうし、素晴らしいハッピーエンドだと深い感銘を受ける人もいるでしょう。こんな事態が生じて、人類はこれからどうなるのだろうと大きなショックを受けたり、あるいはこの語のお話しが気になって仕方が亡くなったりする人もいるかもしれません。
 最後に問題定義を投げかけておいて、その答えは観客に委ねてしまう。この方法でこけてしまう作品も少なくありませんが、この作品では大成功だったと思います。やや重苦しい雰囲気の本編に退屈を覚えてしまった人もこのラストでたちどころに名作に昇格させてしまったかもしれません。……どんなエンディングかは、ここでは伏せておきましょうか。

原題:Another Earth。
2011年アメリカ、93分。
監督、脚本:マイク・ケイヒル 。
脚本:ブリット・マーリング。
出演:ブリット・マーリング、ウィリアム・メイポーザー 、ロビン・ロード・テイラー、クマール・パラーナほか。

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