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少女【映画】

2016/12/09


 敦子は中学時代は剣道の実力者として名を知られていましたが、最後の大会で敗北し、チームを優勝に導けなかったことをSNSでディスられたことから剣道を辞め、高校生になってからは周囲から目立たないようにして過ごしていました。親友でクラスメイトの由紀は頑張っていた敦子をモデルにして「ヨルの綱渡り」という小説を書きますが、国語教師にして自称作家の小倉が原稿を盗んで文芸誌に投稿し、新人賞をものにします。
 盗作された由紀は復讐するために小倉のパソコンを盗み、生徒たちの成績表を他の職員たちにメールで流します。情報漏えいということで学校側は事態を重くとらえ、小倉は辞職ししばらくして列車に飛び込んでしまいます。
 敦子は「ヨルの綱渡り」を読んでそれが由紀が書いたものだと見抜きますが、自分が勝手にネタにされていたことに憤り、2人の仲は疎遠になってしまいます。
 夏休み、敦子は老人ホームへ、由紀は難病を抱えた小児病棟へそれぞれボランティアに赴きます。
 敦子は老人ホームで高雄という男の見習いにつくことになりますが、高雄ははじめ敦子に対してひじょうに冷淡でした。高雄は女子高生が嫌いでした。過去に女子高生に痴漢の濡れ衣を着せられ、会社は首になり家族も出て行くことになり、病気の息子とも会えなくなっていたからです。敦子の献身ぶりに徐々に心を開いた高雄は、彼女に事情を説明し、偶然持っていた「ヨルの綱渡り」を彼女に見せます。敦子はそれを改めて読み直し、由紀が自分を勇気づけるためにそれを書いたことを理解します。
 一方、由紀は小児病棟で治癒率の低い難病の少年昴とタッチーに出会い、タッチーの頼みで昴の生き別れの父を探す手伝いをすることになります。

 敦子と由紀、2人の少女がボランティアを始めた理由は、遺体を見ることでした。転入生の紫織に、知人の死体を目撃したことがあると自慢され、人の死を目撃することに関心を持っていたのです。多くのおとなにとっては不謹慎で非常識な興味と思われがちでしょうが、彼女たちは受け入れがたい現実に直面し、大きな不安を抱えています。敦子は敗北した剣道の試合で怪我をしたと称し、足を引きずる地味で憐れな高校生を演じていますし、由紀は親友を勇気づけようと書いた小説が盗作され、不本意にも世に出るという境遇が受け入れられません。彼女たちはままならぬ現実よりも死を身近に感じていたのかもしれません。
 2人は夏休みに同じ目的のために別々の施設にボランティアに出かけますが、そこで思わぬ出会いを経験することになります。痴漢の冤罪で家族を失った男、治癒率の低い難病を抱えたまま父と生き別れになった少年。彼らもまた受け入れがたい不条理から抜けられないでいます。
 そして彼女たちと彼らの出会いは、それぞれの人生を変えることになります。

 実際のお話しはもっと複雑でして、もっともっとたくさんの登場人物が出てきます。高雄を陥れた女子高生はじつは敦子のクラスメイトのセーラですし、タッチーの父探しの情報提供と引き換えに由紀の体を求めてきた中年男は、セーラの父親だったりします。ほかにもさまざまな人物が出てきて絶妙につながってゆきます。
 さまざまな人間のエピソードが、クライマックスにつながる伏線になっていて、それとは気づかずに観ている序盤はちょっと退屈かもしれません。でも、伏線を見逃してしまうと怒涛のクライマックスの面白さが半減するので括目してください。しっかり見るとひじょうによく練られたストーリーに感銘を覚えます。

 原作を書いた小説家湊かなえ女史は、イヤミスの女王とか呼ばれているそうです。どういうことかと調べてみると、イヤミスとは読んでいてイヤな気分にさせられるミステリーのことを言い、彼女はその女王というわけ。同じく学園のタブーを扱った作品「告白」(映画化もされている)は、それこそ最初から激しい禁忌の応酬で、なかなかすさまじい内容でしたが、そこへゆくとこの作品はもっとトーンを抑えた内容になっています。少女たちの死への興味という禁忌は確かにイヤな感じなのかも知れませんが、これを否定的に捉える方は、世の中の安直な常識に慣れ合っているからだと思います。純粋な好奇心をいつまでも忘れない人なら、少女たちの気持ちがよく解るはずです。
 イヤミスというイメージは払拭して、澄んだ瞳でこの作品を観てほしいです。とても透明感のある少女たちの美しい"ほんとう"が克明に描かれています。「告白」が狂気や情念に彩られているのに対して、「少女」はそのタイトルに相応しい優美で瑞々しい作品だと感じました。

2016年、119分。
原作:湊かなえ。
監督、脚本:三島有紀子。
脚本:松井香奈。
出演:本田翼、山本美月、真剣佑、佐藤玲、菅原大吉、川上麻衣子、銀粉蝶、白川和子、稲垣吾郎ほか。

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