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マッド・ナース【映画】

2016/10/12


 ニューヨークのとある総合病院の看護婦アビーことアビゲイルは、献身的で模範的な白衣の天使でした。彼女の見習として正看護師になったばかりのダニーもアビーのことを誇りに思っていました。ところがアビーには、夜になると妖艶な悪女に変身し、男をひっかけては殺して回るという恐ろしい裏の顔がありました。
 アビーがターゲットにする男たちは、浮気を繰り返して妻や家族を裏切っている女たらしで、事故や自殺に見せかけて葬る手口は巧妙でした。殺人は、アビーにとっては制裁なのでした。
 アビーは、異性よりも同性に興味があり、ダニーを恋人にしようとするのですが、その手口が男を罠にはめるときのように悪質で、ダニーを怯えさせてしまいます。
 ある時、精神科医であるダニーの父が浮気していることを知ったアビーは、男性依存症の患者を装ってダニーの父に近づき、殺してしまいます。誰が見ても交通事故死でしたが、担当の刑事は、被害者の体内から体を麻痺させる薬品が検出されたことから殺人の可能性を疑い、ダニーがその薬を調達していたことを突き止めると、彼女を父親殺しとして追求します。しかしそれもアビーの巧妙な罠なのでした。

 アビーが自分を罠にはめてものにしようとしたこと、父親殺しの容疑が自分にかかったこと等から、ダニーはアビーに疑いを持つようになるのですが、警察も彼女の恋人さえもダニーを信用せず、誰もが彼女がアビーにつきまとうストーカーであるように思ってしまいます。
 孤立無援となったダニーは、それでもアビーについて調べてゆくうちに、アビーには知られざる過去があることを突き止めます。

 最近ほとんど耳にしなくなったスプラッタームービーという用語を、「SAW」以来久々に思い出しました。いわゆる血しぶき映画のことなのですが、ただ残酷でグロいだけではいただけません。SAWがジグソーの知性のかっこよさに感銘を受けましたが、この作品ではアビゲイルのエロカッコ良さに感動しました。倫理的には禁じ手とされるエログロを大胆に用い、しかも品位を損なわないスタイリッシュな作品になりました。好きですよ、待ってましたよ、こういうスリラー。
 そしてSAWにもこの作品にも共通するのが、残忍な殺人鬼の思想です。SAWの場合には、ジグソーによって生きる価値を試された者が、彼の信者になってしまうという異常心理が登場し、しかも観るものをその心理に引き込んでしまう恐ろしさがありましたが、アビーの場合、殺人は男たちの中に潜む淫らな性欲に対する制裁でありました。その意味で観客も被害者よりもアビーに賛同してしまうのです。

 アビゲイルを残忍な殺戮に駆り立てるのは、幼い頃に実父より受けた心の傷が原因なのですが、だからと言ってこの作品を彼女をそのままダークヒロインにはしていません。彼女は自らの犯罪に陶酔し、その延長で倒錯的な性に溺れ、同性のダニーをものにしようとする異常者にしています。この映画は別の見方をするとダニーが主人公で、アビーは主人公を食った脇役です。父を殺され、恋人をも失うことになる悲劇のヒロインを襲う怪物です。クライマックスの対決は壮絶です。
 原題はナース3D。筆者は通常上映でしか観ていませんが、3Dメガネをかけ、血やガラス片が飛んでくる映像を楽しんだ人は、いいものを観ました。

 むかし、ブライアン・デ・パルマ監督のサイコサスペンスにハマったことがありました。彼の映像もなかなかエログロ要素がふんだんで、それがまたたいへん綺麗でした。衝撃ナースの登場で、この手のサイコスリラー(エログロ&スプラッターあり!)ブームが再燃しないものかと期待したのですが、この作品あんまりヒットしませんでしたね。B級ホラーのくくりで埋もれてしまった感があります。
 B級ホラーと定義づけしてしまうと、一部のマニアを対象にしたジャンルのように思われがちですが、それにはあまりにももったいない気がします。

 アビゲイル役のパズ・デ・ラ・ウェルタは、最高のハマり役でした。映画史に残る名マッドナースの誕生です。劇中で惜しげもなく裸身をさらす彼女のナイスバディがしばしば賞賛されますが、それはもちろん重要な要素ではありますが、筆者は彼女の視線に心を奪われました。狂気の殺人鬼であるにも関わらず、彼女の瞳はどこかあどけなさを含み、取り乱したり、怒りを爆発させたりすることもありません。悪い人を殺しちゃ、なぜいけないの? その瞳はそんなふうに哀願しているのです。
 結末は口が裂けるので言えませんけども、観た方は、惨劇の結末をどう感じましたか? そしてアビーがまたいつかどこかの街で血の惨劇を繰り返すことを望みますか? 筆者はもちろん待ち望むです。アビゲイル崇拝者です。
 こんなこと言うと、犯罪者予備軍みたいに思われるかもですが、暴力を含むゲームや映画を嗜好する人のほとんどが平和主義者ですからね。物事に真剣に没頭できる人に破壊者はいません。

 ロードショー公開を観てからずいぶん経ちますが、DVDで久々に観ても、やっぱ素晴らしかったです。

原題:NURSE 3D。
2013年アメリカ、84分。日本公開は2015年。R18+
監督、脚本:ダグラス・アーニオコスキー。
脚本:デイビット・ラアリー。
出演:パズ・デ・ラ・ウェルタ、カトリーナ・ボウデン、ジャド・ネルソン、スティーヴ コービン・ブルー、ボリス・コドジョー、アダム・ハーシュマン、ニエシー・ナッシュ、メラニー・スクロファーノ、マーティン・ドノヴァン、キャスリーン・ターナーほか。

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