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少女椿 その3【アニメ】
 地下幻燈劇画 少女椿

2016/07/29


 「少女椿」は、アングラ傾向の強いガロ系作品としては、異例とも言うべき出世作だと思われます。今年、実写映画化が実現してさらに多くのファンを増やしたわけですが、それまでにもアニメ化や演劇化がなされており、古くからカルト作品愛好家ならずとも多くの人たちに知られ、支持されてきたようです。劇団「虚飾集団廻天百眼」による少女椿は、amazon等でもDVDが入手できます。
 今回紹介する「地下幻燈劇画 少女椿」は、1992年に公開された「少女椿」のアニメ版です。
 内容はストーリーを含め、原作漫画を忠実に再現したものになっており、コミックを呼んだ人にはすでに内容が知れているわけですが、演出や音楽がひじょうに独特で、目を見張るものがあります。今から20年以上前に映像化されたことを差し引いても、その雰囲気は異様です。のっけから江戸時代の浮世絵風の怪異図がゾロゾロと登場します。ろくろ首や化け猫が本編とどう関係があるのかと突っ込みたくなりますが、それらの怪異図がアニメ版に強烈な印象を与えることも事実で、これの有る無しでは作品の印象が大きく変わっていたことでしょう。

 少女椿の世界の登場人物たちは、主人公のみどり以外はみんな怪人であったり変人であったり、不気味な雰囲気を醸していたりと、まるで化け物の世界の住人たちのようで、その恐ろしげな世界に純真な少女みどりが翻弄されるわけです。みどりに襲いかかる境遇はそれはもう地獄です。ヘビに目を舐められるわ、犬の肉を食わされるわ、両手のない怪人に犯されるわ、裸にされて縛り上げられるわ、ニワトリの血を浴びせられるわ、ゲロ吐くわ。なぐられる蹴られる踏まれるなんて序の口です。悪趣味ですね、倒錯していますね。少女椿のエログロ要素は、このアニメ版が最も熾烈です。公開当時いったいどんな風にテレビ放映されたのでしょうね。現在では深夜枠でも放映は難しいかも知れません。DVD化が実現しないのも、倫理的にかなり問題があるからかも知れません。
 ソフト化については、日本ではVHSが少数頒布されたのみで、2006年に「MIDORI」のタイトルでフランスでDVDが発売されています。子供向けアニメの規制が厳しく「美少女戦士セーラームーン」の温泉シーンでは女の子たちに水着を着せたフランスが、いくら日本アニメ好きだとは言え、よくDVD化したものです。成人アニメとして視聴制限がされているのかもですが。
 でも、最近はインターネットのおかげで動画がネット上にまるまる落ちていたりしますから、日本でもパソコンがネットにつながっていれば観ることができます。筆者もそれで観賞いたしました。

 怖いものやエログロが苦手な人は、冒頭の化け物図ですでにめげてしまうかもですが、辛抱して観ていただければ、みどりのけなげな奮闘に共感できるでしょうし、彼女の心の瑞々しさに心惹かれると思います。どんなに地獄を見ても死んでしまおうなんて思わないし、さりとて希望も抱きません。絶望の縁で、かつて暮らした東京行きの汽車に手を振り、年相応に学校にも行けないので将来が不安だと、意外に平凡な悩みを抱えていたりします。彼女の夢は、いつか悪夢のようなサーカス団を抜け出し、普通に働いて自活しようということなのでしょう。
 そこへ、西洋魔術を習得した小人のワンダー正光が現れ、彼の助手についてみどりは、サーカス団の中でも地位が上がり、彼女をいじめる先輩団員たちにも「うちの人に言いつけてやる」と強気になります。ワンダー正光と彼女は結婚したわけではありませんが「結婚してあげてもいいわ」と、みどりは小人の魔術師に人生の夢を託している様子です。
 そしてさらに、映画出演のオファーが来ます。「女優になれば、大きな家に住めてみんなから大事にされる」普通の暮らしへの夢が、一気に銀幕のスターへ昇格です。でも現実はそう甘くはありません。運命は悲運の少女を日の当たる場所へは連れ出してくれないのです。

 筆者は、悲観的な作品というのはあまり好きじゃありません。たとえば「フランダースの犬」のように、どんなに努力してもけっきょくは死んでしまうみたいな結末は、お話しとして本当に虚しいと思います。とくに青少年向けの作品には、感動や教訓が必要だと思います。教訓と言ってもあからさまな教示ではなく、観客が自然に何かを学ぶような。
 この作品は典型的なバッドエンドです。その点では筆者が好まない作品のはずなのですが、なぜかひじょうに心惹かれました。最初は映画版を観て、原作コミックも買い求め、アニメ版の存在を知るとそれも探しました。そして映画→コミック→アニメと進むにつれてエログロ度と悲壮感が増してゆきました。このカルト作品にはどんな魅力があるのでしょう。筆者のみならず多くの人々の心をつかんで離さない不思議な力とはいったい何なのでしょう。
 みなさんもぜひ、この耽美世界に大きな衝撃を受け、そして酔いしれてください。

1992年公開、47分。
原作:丸尾末広。
監督、脚本:原田浩。
声の出演:紅日毬子、常川博行、金原沙亜弥、倉垣吉宏、こもだまり、TETRA。、いちご、有栖川ソワレ、十三月紅夜、桜井咲黒、仲村弥生、泰造、橋本じゅん、若松真夢、大島朋恵。

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