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明日へ

2015/11/24


 2007年に韓国で実際に起きた労働運動を映画化したもので、不当解雇の撤回を要求して企業と戦う労働者の壮絶な物語が描かれます。大手スーパーでレジ係で働いていたソニは、5年間の苦労が報われて社員に昇格する予定でしたが、企業の人件費削減のための派遣社員採用に伴い、パート労働者たちの一斉解雇が発表されます。夫が出稼ぎで長期不在で2人の子供を抱えるソニは、連日のサービス残業にも耐えて頑張って来ましたが、会社は彼女との約束を破棄し、解雇を通達します。
 パート労働者たちは、いずれも厳しい家計を支えるために職にしがみついてきましたが、会社は彼女たちを主婦の暇つぶしの片手間仕事と軽んじ、冷遇してきました。
 労働運動に詳しいヘミと、勤続20年のベテラン清掃員スルレが先頭に立ち、労働組合を組織されます。ソニも代表に加わり会社に団体交渉を申し入れますが、会社は違法と知りつつも平然とこれを拒否します。仕方なくストライキを敢行するも会社はこれを店舗の不当占拠であるとし警察に訴え、彼女たちは機動隊によって排除されます。
 一方正社員であるカンは、最初は会社の味方だったものの、正社員も契約社員にして売却してしまう会社の企みを知り労働組合を組織し、パート労働者たちもこれに巻き込みます。大きくなった組織は、運動を強化することに成功しますが、会社はならず者を雇って労働運動本部を破壊し、暴力に訴えて労働者たちを排除します。それでもめげずに運動を続けた結果、労働委員会が不当解雇を認め、会社に労働者の復職を命じますが、会社は一部の社員を復職みとめただけ、しかも労働運動の代表者に巨額の損害賠償を請求します。
 運動の旗頭のひとりとして闘い続けたシングルマザーのヘミは、たまたま現場に子供を連れてきたばかりに怪我を負わせ、進退窮まって一部社員の復職に応じます。復職を認められなかった者たちは、肩を落として職場を去ってゆきます。カンは運動を妨害した社員たちと争いになり逮捕されてしまいます。

 営利主義に徹し、人を人とも思わない大企業の体質は、韓国も日本も同じだなぁと思いました。ヒトは助け合って大きな力を発揮するために牙も毛皮も持たない裸のサルに進化しましたが、経済の概念が生まれると、知性が低く非情な者が権力を蓄える仕組みができ、恐喝や暴力で民主主義を踏みにじる体質が社会に蔓延するようになりました。この幼稚で低能な体質が人と人とを分裂させ、格差社会や戦乱を招きました。
 人間は自らの科学技術の進歩を自画自賛しつつ、いまだに人間同士を警戒し合い、権力者が市民を見下し、企業が人を家畜のように扱う野蛮な体質から抜け出せないでいます。筆者自身も、一流企業を豪語しながら裏で違法な蛮行を繰り返す企業の幼稚な体質をイヤというほど見てまいりました。未来ある若者たちが、不当に切り捨てられるのをさんざん見てまいりました。
 人を見下し、格差社会を盲信している亡者たちには人間の言葉は通じないので、何を言っても仕方ないのですが、そうした蛮人にすり寄り同胞を蹴落としたり、悲観に徹して闘おうとせず、そればかりか闘うことをあざ笑っているような人たちに、もっと自分たちの力を信じろと言いたいです。
 この映画を観て、いったいどれだけの人が、勇敢に闘った労働者たちに共鳴することができたことでしょう。国家権力やそれに守られた大企業に、労働者が太刀打ちできるはずはない、そうした感想を抱いた人が多かったとすれば、人間社会の未来は明るくはないですね。

 ソニの息子テヨンは、母が給食費を滞納しているのにも文句も言わず、隠れてバイトをして修学旅行代を稼ごうとします。ところがバイト先のコンビニがまともにバイト代を払おうとしません。ガールフレンドのスギョンが頭に来てコンビニのガラスを割ってしまいますが、テヨンはそれをかばって店長にこっぴどく殴られます。傷ついて帰ってきたわが子を見たソニは、しかし大人の体裁を気にする卑怯な母親ではありませんでした。
 筆者の知る労働作家の方がこうおっしゃっていました。過去のいかなる時代においても、今後未来がどうなろうとも、時代の最先端に立っているのは市民であり労働者である。
 国の定める義務教育の教科書が、過去の権力者の偉業を讃え、戦争の指導者を礼賛しようとも、市民が築いてきた文化や言葉、人々の暮らしは決然とそこに存在します。権力者が言うように、人の歴史は争いの歴史なんてことはありません。その証拠に数多くの文化遺産が築かれ、破壊されずに残っています。人は破壊以上に創造をしてきたのです。
 現在の日本でも不況という名の資産家にとっての楽園が長らく続いていますが、このままでは日本は終わります。明るい未来のためには、良識ある市民の笑顔が必要です。その笑顔を取り戻すためには、なんでも権力者のせいにして悲観しているのではなく、自分たちでもできる小さなことを見つけることです。その小さなことがたくさん集まって人の未来は切り開かれます。

104分。2014年、日本公開は翌年。
監督:ブ・ジヨン、脚本:キム・ギョンチャン。
出演:ヨム・ジョンア、キム・ヨンエ、キム・ガンウ、ムン・ジョンヒ、チョン・ウヒ、ファン・ジョンミン、ド・ギュンス、チウ、パク・スヨン、イ・スンジュンほか。

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