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ミスト【映画】

12015/05/13


 奇妙で不気味な作品を次々とヒットさせるスティーブン・キングの中編小説の映画化です。彼の作品はほんとうに気色悪くて恐ろしくて、大好きなんですけど、原作の方はほとんど読んでません。映画ばっかです。「キャリー」「シャイニング」「ミザリー」「グリーンマイル」「ドリームキャッチャー」「クリープショー」「シークレット・ウィンドウ」「1408号室」等々。不思議と怖っ、のオンパレードです。「スタンド・バイ・ミー」は彼らしからぬ青春映画でしたが、空前の大ヒットでしたね、残念なことに。青春映画と言っても少年たちの冒険は死体探しでしたけどね。
 で、本題の「ミスト」ですが、筆者的にはこれがスティーブン・キングの中で1番かも知れない、と思っています。感動も教訓もありません、衝撃と絶望の、たいへん後味の悪い変なお話しです。これを書いていてアレなんですが、観ない方が良いです。知人に「ミスト」どう? と聞かれたら、迷わず「やめとけ」と答えます。映画に関してはホラーやエログロ好きの筆者は、悪趣味な変態だと言われますが、その手の作品ばっか観てるわけじゃございませんよ。言い訳はともかく、グロい作品であっても美意識がなければあきまへん。血の使い方も綺麗じゃないとダメです。筆者の言う綺麗は、多くの人たちに「どこが綺麗やねん」と言わしめるわけですが、正視もしないで先入観だけで評を垂れる奴と議論したって仕方ないので、こっちが悪者になっておきます。ただ、ホラーもエログロも世界中で市民権を得ていますし、高い評価を受けている作品が山とあるのが現実です。
 ゲテモノ好きと申しましても、単なる残酷描写の羅列を眺めていても面白くないばかりか、不快感がつのるだけです。作品に思想がなければ、なにを表現しなにを語りたいかというコンセプトがちゃんとしていなければ、そして感動や教訓があればさらに素晴らしいです。そういう点で、本作品は空っぽです。理不尽に襲いかかる不可解で残酷な運命に対する人々の反応は、リアルで興味深くて魅了されるものがありましたが、作品全体として得るものがない、学ぶところがない。
 衝撃でした、あまりにも虚しい結末が心に突き刺さりました。その痛みがあまりにも痛烈で、思想だの美意識だのとごたく並べている自分を見つめ直さなければとさえ思ったほどです。
 人間の手におえないような未知の怪物の襲撃を受けたとしたら、そこには夢も希望もないのだよ、そんなつらいリアリティを突き付けられました。自衛隊だの米軍だの地球防衛軍だのが総力を決しても退けられないような怪物が襲来したとしたら、人間はどうあっても滅びをまぬがれられない、それがこの先品が示した教訓でした。
 それでも、筆者は虚構に夢と希望とロマンを求める派です。だから死んですべて終わりという結末は好きじゃありません。悲しみも苦しみも努力もそして何にも負けない強い意志も、結局は安らかな死によっておしまい、努力が生きてるうちに報われることはありませんでしたっていう「フランダースの犬」式の作品は好きにはなれません。
 この作品こそはまさしくソレです。最後の最後まであきらめず九死に一生を得て、そして最後の最後に敵の圧倒的な力を見せつけられ愕然とする、そんな作品でした。なのになんで好きなんでしょう。なんでスティーブン・キングの1番なんでしょう。

 ということで、この先品はお勧めしません。やめといた方が良いです。
 ということで、どうせ見ないでしょうからネタバレです。とある山間部の小さな町に、これまでにないような濃厚な霧が襲来します。一寸先も見えない白い闇です。スーパーマーケットに一時避難した人々は、霧に包まれた世界で謎の巨大生物たちの襲来を受けます。触手を持つ軟体動物のようなものやら、昆虫に似た飛び回るもの、いずれも巨大です。まるで獰猛な肉食獣が空を飛ぶようなものです。
 多数の犠牲者を出しながらも、生き残った人たちは必至の抵抗を試み、怪物たちを退けようとします。恐怖の一夜が明け、これではキリがないと判断したデヴィッドは、自分と息子を含む5人で脱出を試みます。怪物たちの目を盗んで車で逃走したのです。
 逃走の最中、自宅に立ち寄った彼は妻が死んでいるのを目撃します。悲嘆にくれながらもさらに逃走を続けますが、やがて車はガス欠、あたりは怪物どもの慟哭に包まれたままです。体力も尽き果て、もはやこれまでと悟った一向は、怪物に食い殺されることより自殺することを決意し、仲間の一人が持っていた銃で死ぬことにします。銃に残された弾は4発、車の中には5人います。デヴィッドは息子が寝ているうちにまず彼を射殺し、残りの3人も撃ち殺します。
 独りになったデヴィッドは、フラフラと車を離れ、残酷な運命に身をゆだねます。ところが霧の中から現れたのは、火炎砲で怪物を焼き払いながら進軍する兵士たちと機動兵器の隊列でした。トラックには救出された人々が乗っており、その中には霧が発生した直後にデヴィッドの制止を振り切って店を飛び出した親子の姿もありました。この親子を止めるのではなく自分たちも一緒に店を出ていたら、軍隊に救助されていたはずです。自分は死ぬ思いをして怪物たちと戦い続け、けっきょくはすべてを失いました。息子を射殺するのを、あと数分だけためらっていたら、幼い少年は父と共に軍隊に保護されていたのです。
 みんなと一緒に助かるために、多くの危険をおかし脅威と戦ってきたデヴィッドが受けた報いは、あまりにも残酷でした。助かった親子のように、冷静な判断を欠き衝動的に店を飛び出していたら、軍隊に救出され、家に残っていた妻を救助する機会もあったかもしれません。軍隊に店に残された人たちを救出するよう依頼することもできたはずです。そして最後に息子を射殺する勇気が持てなかったら、息子と共に軍に救助されていました。彼の勇気、彼の断行力、努力、そのすべてが無駄だったのです。勇気もなく冷静な判断もなく、混乱して店を飛び出していたら、悪夢の一夜を過ごすこともなき、息子を失うこともありませんでした。うまくすれば妻も助けられたかもしれません。  勇気を持って努力したおかげで、デヴィッドは家族を失い、残りの人生を息子を射殺した過ちを悔やみながら送ることになったのです。

 いかがです? これ以上イヤな映画ってそうそうないですよね。これを読んでぜひ観てみたいと感じた方は、あまり趣味が良いとは言えませんね。DVD版を扱っている通販ショップ等の評価を見てみますと、意外に良い評価がついています。観られた方々は、この作品の何に魅せられたのでしょう。セオリーを破壊し、逆転の発想でヒットをものにしたフランク・ダラボン監督ってすごいですね。

原題:The Mist
2007年アメリカ、125分。日本公開は翌年。
監督、脚本:フランク・ダラボン、原作:スティーヴン・キング「霧」。
出演:トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン、アンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズ、ウィリアム・サドラー、ジェフリー・デマン、フランシス・スターンハーゲン、ネイサン・ギャンブル、メリッサ・マクブライドほか。

追記:霧と怪物の正体は、軍事的な実験かなにかで異世界の扉が開いたせいらしい。
 霧発生直後に衝動的に店を飛び出して助かった親子は、軍隊に店に残された人々の救出を依頼しなかったのだろうか。ひでぇ。

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