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幕が上がる【映画】

2015/03/27


 今を時めく和製アイドルももいろクローバーZが主演した青春ドラマです。世界に名を轟かせている劇作家にして演出家の平田オリザが著した小説を映画化したもの。今年2月28日に封切公開され現在も大ヒット上映中です。  高校の弱小演劇部が、かつて学生演劇の女王と呼ばれた女性教師と出会い、年に一度の高校演劇大会に青春を賭け、全国大会を目指すというお話し。
 劇場版「踊る大捜査線」シリーズで監督を務め、「踊る大捜査線2」で日本の実写映画で1位の興行成績を樹立した本広克行が久々にメガホンを執りました。映画のテーマは"あきらめない心"で、数人の客を相手にした路上ライヴから始めてトップスターに登りつめたももいろクローバーZが、この作品のテーマにもっともふさわしいとされ主役に抜擢されました。
 リテイクや編集が利く映画作りにおいて、あえて演劇の手法を取り入れ、平田オリザによる演劇ワークショップに主演の5人を参加させ、舞台女優としての演技を学ばせるところから映画製作はスタートしました。ワークショップでの特訓から、映画を撮り終えるまでの様子は「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦」というドキュメンタリー映画として記録され、期間限定で上映されました。

 奇しくも去年の暮れ、乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未が主演したフェイクドキュメンタリー「超能力研究部の3人」が上映されたばかりで、なんとなく同じ臭いを感じていたのですが、こちらの方は予告編映像がたいへん面白かったので観に行ったものの、何を言いたいのか解らない病的とも思える監督の延々と続くダメだしに辟易するだけの、じつにチンタラした退屈な作品でした。「シティライツ」という映画製作に挑む少女たちの艱難辛苦をやらせの撮影風景で見せたもので、主役の彼女たちよりも、周りのスタッフたちのグダグダばかりが目立ち、観るのがたいへん苦痛でした。「シティライツ」をそのまま映画化した方がずっと良かったんじゃないのか、そう思いました。
 それに比べると「幕が上がる、その前に。」はリアルドキュメンタリーにして、映画撮影の中でももクロの面々が女優として演技に目覚め成長して行く様子がひじょうに感動的で素晴らしいものでした。演じることに妥協を許さない厳しい平田オリザも彼女たちを、このひと夏で驚異的な成長を遂げたと評していますし、温厚な本広監督も彼女たちの熱意を絶賛し、これまでになく丁寧に熱意をもって製作に臨めたと感想を述べています。役者とスタッフが一体となって考え、それを演出に反映しながら映画を撮ってゆく様子に引き込まれました。

 筆者は、最初に映画「幕が上がる」を観賞し、その撮影ドキュメンタリーが公開されることを知って後日再び映画館に赴き、「幕が上がる、その前に。」を観て引き続き「幕が上がる」本編を観るという楽しみ方をしました。2度目の「幕が上がる」は製作行程や監督や出演者の思いを踏まえて観たわけです。「幕が上がる」本編の高校生たちが演劇で頑張る内容と、ドキュメンタリーの「その前に」の、ももクロのメンバーが女優として奮闘する内容がクロスオーバーして、いったいどっちを応援しているのか解らなくなりました。

 女子高校生たちの部活青春ドラマというと矢口史靖監督の「スウィングガールズ」を思い出します。本作と比べて、どちらが良かったか甲乙つけがたいのですが、「スウィングガールズ」の方は、楽しませる演出と映像作りということにかなり入魂しており、「幕が上がる」の方は高校生たちの自然体を楽しくしてみせたといった感じがしました。  以下ネタバレを含みます。自分たちでどうしたら良いのか分からず途方に暮れていた演劇部員に助言を与え、地区大会まで彼女たちを引っ張ってきた吉岡先生が、これから全国大会を目指すという最も肝心なところでいなくなってしまいます。演劇部に対して残された手紙には、あなたちに出会って私も勇気をもらいました、私も舞台女優を目指します、といった内容がしたためられていました。
 吉岡先生を信じて着いてきた部員たちを突き放す形で学校を去った彼女が、これからより大きな舞台を目指すという一幕を挿んで、お話しは少女たちの決意と躍進へと進んでゆきます。
 あなたちなら大丈夫、吉岡先生が残した言葉を胸に、最後は自分たちだけで劇を完成させ全国大会に挑むというクライマックスが感動的です。そしていよいよ大舞台の幕が上がる、という演出も見事でした。
 筆者的には、吉岡先生が学校を去り、自分の進むべき道を歩み始めたのは正しかったし、ストーリー的にも素晴らしいと思いました。生徒の前であれほど毅然としていた彼女が、プロの舞台を目の前に緊張している様子が印象的でした。
 高校生活は人生の中でけっして長くはありません。一瞬の青春のきらめきの後には、別れそしてそれぞれの道を歩みだすという人生の"これから"が待っています。吉岡先生は、図らずも身を持ってそれを彼女たちに示したのかもしれませんね。
 いよいゆよ大舞台の幕が上がるその時、少女たちは「やれる」「負ける気がしない」そう言って満面の笑みを浮かべます。それは、路上ライブから出発して、ついに国立競技場のステージに立つことになったももクロ自身の声を聞くようでした。

2015年公開、日本、119分。
監督:本広克行、脚本:喜安浩平、原作:平田オリザ。
出演:百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏、黒木華、ムロツヨシ、志賀廣太郎、清水ミチコほか。

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