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リターン・トゥ・ベース

2015/01/31


 戦闘機による航空ショーで、テフンは危険行為を敢行したことからチームを追われ第21戦闘機隊に異動させられます。そこでエースパイロットのチョルヒと飛行対決で敗れた彼は、女性整備士のセヨンに機体の整備を依頼し、チョルヒとの雪辱戦に挑もうとします。そうした中、訓練を装った北朝鮮の戦闘機がソウルまで南下し、第21戦闘機隊と市街上空で交戦することになります。その戦闘でテフンの同期の女性パイロットユジンの恋人テソ隊長機が撃墜され、敵機を追った仲間のひとりが北朝鮮上空で緊急離脱することになります。この領空侵犯はじつは反乱軍によるクーデターの一環で、その情報をつかんだ韓国駐留の米軍は、それを阻止する作戦を進めますが、第21戦闘機隊は仲間の救出と、クーデターの要である弾道ミサイルの破壊を自ら買って出ます。

 今やハリウッド映画にも出演する大スター ピ主演の航空ミリタリーアクションです。ソウル市街上空での戦闘機バトルという迫真のアクションシーンの撮影には「ダークナイト」などを手がけたハリウッドの空撮チームが参加しています。ハリウッド映画スカイアクションの名作「トップガン(1986年)」を意識しているかどうかは判りませんが、あの名作に匹敵するすごい映画だと思いました。「トップガン」の方は青春映画色が非常に濃く、当時ヒットしたアメリカンポップスの数々をBGMに主人公マーベリックの女教官への憧憬と、ライバルであるアイスマンとの熱い友情が爽やかに描かれています。対して本作では、主人公のテフンは技術はあるがクセのあるやっかい者という点でマーベリックと似ていますが、女性整備士セヨンに対する愛情はもっと大人な関係でした。またライバル的存在も登場しますが、チョルヒは、ことあるごとにセヨンの整備にケチをつけるイヤな感じのパイロットで、テフンにとってはライバルというよりぎゃふんと言わせたい相手といった感じでした。
 「トップガン」ではソ連の戦闘機による領空侵犯に警戒する若いパイロットたちの生きざまが中心になっていました。ライバル同士が時には激しく争いながら、最後には見事なチームワークを見せて度々煽りをかけてくるソ連のミグを分からせてやるというお話しです。
 それに比べると本作は、もっと深刻な事態が差し迫ります。北朝鮮の現行体制に謀叛を企てたテロリストたちによるクーデター、しかも弾道ミサイルまで持ち出すという世界を恐怖に陥れるような事態が展開するわけです。もちろん在韓米軍は黙っていません。戦争勃発の危機です。クーデター阻止のための軍事行動の主導権を握ろうとする米軍に対して、韓国側はワンチャンスを要求します。弾道ミサイルを沈黙させ、敵地に残された同胞も救出しようという決死の作戦です。遂行のひじょうに難しい危険な作戦でしかも残された時間がわずかしかありません。
 テフンは、恋人を失ったユジンやチョルヒと共に決死の作戦に挑みます。同胞の救出と作戦のカバーのためにヘリによるレスキュー隊も北朝鮮に向かいます。
 CG等の特撮技術の向上により、壮麗なスペクタクルシーンを見慣れてしまっている我々が観ても、音速の戦闘機がビルの谷間を飛び、一般市民の頭上をかすめるシーンはすごかったです。こんなすごい映画なのに、日本公開は小劇場での上映でした。小劇場での上映では、テレビCMもなく知名度が上がりません。最近の日本での韓国映画の扱いはひじょうに残念です。

 迫力のスカイアクションもすごいのですが、テフンとセヨンの恋の行方も見どころ満載でした。硬派の敏腕整備士のセヨンに、お調子者のテフンがちょっかいを出し、最初は頑なだったセヨンの心が次第に解けてゆき、やがて軽飛行機に乗ってデートする、その顛末はラブストーリーファンも納得の素敵なお話しです。揺るぎない信念で戦闘機の整備に臨むセヨンが、テフンに日頃の不満を打ち明け、酔いつぶれてしまうシーンもとても可愛かったです。
 一方で、女性パイロットのユジンとテソ隊長のエピソードもとっても心温まるお話しでした。でも隊長は韓国本土を襲った北朝鮮機に撃墜されてしまいます。結婚の約束までしたテソを失ったユジンは、彼の意志を継ぐためにリターン・トゥ・ベース作戦遂行のためにテフンたちと飛び立ちます。テソ隊長はまたテフンが兄と慕っていた先輩でもありました。

 筆者としてはやはりどうしても「トップガン」と本作を重ねてしまいます。この映画の予告編を見たときにも「トップガン」の再来といったイメージを抱きました。「トップガン」は米海軍の全面協力を得て製作された壮麗な青春ドラマでした。1980年代といえばアメリカンポップス全盛期です。この映画にもたくさんの名曲が使われ、そりゃもうカッコイイのなんの、パイロットはもちろん艦上クルーのひとりひとりに至るまでリズミカルでイカしてました。
 ミリオタな話しをしますと、F-14戦闘機トムキャットがなんと言っても素晴らしかった。航空母艦を発着する雄姿にはゾクゾクさせられました。人間が作った乗物の中で、トムキャットほど美しいものは他にない、と筆者は思っています。超音速飛行と低速作戦行動を両立させるために開発された可変翼と複雑な動きをするダラーや水平および垂直尾翼、1度に多数の目標を攻撃できるミサイルシステム、様々な革新的な技術を詰め込んだテクノロジーの塊でした。ただ、いろいろ欲張ったおかげで弊害も多かったようです。1970年に初飛行を行ない、1973年から海軍所属の艦上戦闘機として実践配備され、2006年まで30余年の長きに渡り活躍しました。その間に様々な試行錯誤と改良がほどこされ、様々なタイプのものが700機あまり生産されたそうです。
 多くの問題点が指摘されたドラ猫F-14ですが、現役時代に蓄積されたノウハウは、後継機のF-15イーグルに受け継がれました。イーグルではF-14最大の問題点だった主翼が固定翼に変更され、基本フォルムを受け継いだまま攻撃性能を高めました。1976年に空軍機として実践投入され、今も現役です。1200機あまりが製造され、日本の空軍基地にも多数配備されています。F-15Jは日本の工場で生産されたイーグルです。そして「リターン・トゥ・ベース」では、韓国空軍のイーグルが大活躍します。この映画は、イーグル版トップガンとも言える、戦闘機の魅力をふんだんにもちいたアクション映画になっています。……ちなみに、筆者はミリオタではありません。トムキャットが大好きなだけです。

 前述しましたが、この映画が日本では小劇場での上映しかなく、あまり話題にならなかったことは本当に残念です。「猟奇的な彼女(2001年)」は、何館もの一流館で上映され、テレビCMも充分になされ、劇場には長蛇の列ができたものです。あの頃の韓流作品の扱いはすごかったです。この作品も同じ扱いがされていれば、一躍名作扱いされていたことでしょう。この作品が日本公開された2012年頃は、韓国の大統領が竹島で反日とか寝ぼけたこと叫んで、日本での自国の文化の興行を妨害していた時機でした。我々にとって政治家の愚行は、文化に対するクーデターです。リターン・トゥ・ベース作戦を起動せねば。

2012年、114分。日本公開2012年。
監督、脚本:キム・ドンウォン 。
出演:チョン・ジフン(ピ)、ユ・ジュンサン、シン・セギョン、キム・ソンス、イ・ハナ、イ・ジョンソク、チョン・ギョンホ、チョ・ソンハ、オ・ダルス、チョン・ソクウォンほか。

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