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ムーンライトキングダム【映画】

2015/01/10


 1965年アメリカのニューペンザンス島での出来事。12歳のスージーは頑固な父と口やかましい母とうるさい3人の弟たちと大きな屋敷で暮らしていますが、本を読んだり双眼鏡で景色を眺めたりして夢想にふける孤独な少女です。そんな彼女にもたったひとりの友だちがいました。ボーイスカウトの隊員のサムとは、ふとしたきっかけで出会って以来文通を続ける仲です。2人は綿密に計画した"駆け落ち"を実行に移します。2人の両親から捜索依頼を受けたシャープ警部、そしてボーイスカウトの隊員たちとの捜索が始まります。幼いスージーとサムの決死の逃避行は、大勢の捜索部隊によってあえなく阻止され、2人は引き裂かれてしまいますが、シャープ警部は、サムと男同士の会話を試みます。そこへ福祉員からの連絡が届き、身寄りがなく素行に問題があるサムは少年収容所に送られると告げられます。一方、ボーイスカウトの隊員たちは、サムをのけものにしていた自分たちを反省し、協力して2人の"駆け落ち"を支援しようと計画します。再び始まる幼い2人の逃避行。再び始まる捜索と、福祉員の来島。そして嵐が島に接近しつつありました。

 変です。とっても奇妙です。奇妙で不思議な雰囲気を持つ作品は、筆者の好物ではありますが、この映画の変ぶりは格別です。登場人物はいずれも感情の起伏が乏しく、行動も淡々としています。幼い子供たちが行方不明になるなんて、サスペンスドラマなら一大事です。家族は心配で狂乱し、警察は特別機動部隊を組織して捜索し、テレビは大げさな報道合戦を繰り広げるでしょう。ところがニューペンザス島の住人たちは、焦らず騒がず、自分たちのやるべきことを進めるだけです。一方、駆け落ちした2人も、情熱的に愛を語らうわけでもなく、まるで長年続けてきた習慣のように2人だけの自活生活を送ります。豊かな自然に囲まれた閉塞的な島という状況を考えても、人々の行動はかなり奇妙です。しずかな田舎町の暮らしに騒動は無用だとでも言うのでしょうか。
 この作品の不思議な雰囲気は、じつは演出によるものです。ウェス・アンダーソン監督の作風というわけですね。この後に観た同監督の「グランド・ブタペスト・ホテル」も同様に不思議で奇妙で、ほんわりと笑える作品でした。扱ってる題材はかなりハードなんですが。
 子供たちの巻き起こす駆け落ち騒動、しかも首謀者が変わり者の問題児とくれば、巻き込まれた人々にとっては迷惑な、怒り心頭な話しですが、映画を観ている観客にとっては子供たちの方が、ヒーロー&ヒロインなわけで、力いっぱい応援してしまうわけです。だって、彼らを追い込んだのは誰だよって話しですよ。でも、みんなで2人を捕まえてとっちめて、そこへ少年をアウシュビッツ送りにしてやると非情な福祉員がやって来て、確かにこの子たちは問題起こしたけど、お前なんかに非行少年呼ばわりされたくねぇ。今度はみんなで、ボーイスカウトたちもポリちゃんも、みーんなで2人の味方です。いい映画でしょ? ハートウォーミングでしょ?
 登場人物たちはとっても真面目で一生懸命で、ギャグひとつ言うわけではありませんが、彼らの自然なふるまいがどことなく不自然でちょっぴりおかしくて、気づけば顔がにんまりしている自分がいます。この独特な世界観に触れたら、やめられない、そんな魅力があります。出会えて本当に良かった、心からそう思える一編です。次作「グランド・ブタペスト・ホテル」と合わせて不思議で心が温まる体験を堪能してください。エンディングロールも要注意です。

原題:Moonrise Kingdom
2012年アメリカ、94分。日本公開は2013年。
監督、脚本:ウェス・アンダーソン。
出演:ジャレッド・ギルマン、カーラ・ヘイワード、ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、ジェイソン・シュワルツマン、ボブ・バラバンほか。

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