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箪笥(たんす)

2014/12/29

 この映画が公開された頃、日本でも韓国のホラーが恐ろしいと話題になっていました。ジャパンホラーもたいがいキツいけれど、韓国ホラーも負けてはいないと。残酷描写や役者の体当たり演技への容赦のなさから、韓国ホラーの方がかなりキツいと言う人もいましす。別項でも申しましたが、筆者はホラー系の映画をあまり怖いと思ったことがありません。子供の頃はとても怖がりで、田舎の古い家や夜の学校や山林など、怖いものだらけでしたが、いつの頃からか、あまり怖いと思わなくなったんですね。脳神経がバカになったのでしょうか。ホラー好きのみなさんは、どういう思いでホラー映画を見ますか? 恐怖体験をしたい、思いっきりびびって、もらしたり夜眠れなくなったりしたいと思ってですか? それは悪趣味というものですね。人間には怖いもの見たさという奇妙な衝動があるようで、自分の身に直接降りかからない残酷なもの猟奇的なものに対する好奇心というのを充足させたいという難儀な欲求があるようですね。まぁそれも悪趣味といえばそうなんですが、そういう欲求が実際にあるのだから仕方ありません。
 ホラー映画が怖くない筆者ですが、何だか変な夢を見て夜中に目を覚ますと、未知なるもの、幽霊とかそういうのが無性に恐ろしくなることがあります。でもすぐに眠ってしまって、浅めが覚めるとなんであんなに怖かったのかが思い出せないんですね。とにかくとてもイヤな経験で、できれば二度とごめんだと思うのですが、その恐怖心を忘れてしまっているもので、またホラー映画を観たりするわけですよ、夜に独りで。
 筆者がホラー映画に求めるものは……、そうですねぇ、音と飛び出す映像でビックリさせる系のものよりも、ジワーッと来る恐怖ですか。映像的にもシチュエーション的にも作り手のセンスが光るような、そういう作品に感銘を受けます。また、恐怖映画には不衛生なものがつきものですが、やたら不潔なだけってのはいただけないですね。グロテスクと不潔はちがいますって。スプラッターにも芸術性というものが必要なのです。現実のグロテスクと映像のそれとではリアリティにもちがいがあることを作り手が解ってないと、とても悲惨なことになります。

 この作品は、映像にもシチュエーションにも、そしてストーリーにもすっかり感動させられました。まさに待ちわびだホラーの傑作です。日本公開か10年になりますが、いまだにこの作品を越えるホラーは作られていないと筆者は思っています。
 湖のほとりに建つ旧家に、スミとスヨンの姉妹を乗せたタクシーが止まります。母を亡くし、父が再婚したので、これから姉妹と父と義母の4人での暮らしが始まるのです。スミは若く美しい義母の笑顔の裏に冷酷な感情が隠されているのを見抜き、彼女のことが好きになれません。それを裏づけるように妹のスヨンも義母を怖がるようになります。義母ウンジュの様子がおかしい、妹も怖がっているとスミは訴えますが、父は取り合おうとしません。そして家族の身にさまざまな奇怪な出来事が起きるようになります。
 貞子系の恐ろしい幽霊が2度ほど登場しますよ。苦手な方は目を伏せた方がよろしいかと。恐怖レベルはかなりハイです。生前の姉妹の実母は、精神を病んでいて自殺してしまうのですが、スミはじつは義母のウンジュが後妻に収まる目的で殺害したのではないかと疑っています。そしてとうとうスヨンがウンジュによって箪笥に閉じ込められてしまいます。スヨンがウンジュの可愛がっていた小鳥を殺したと思ったからです。
 スミは、再三にわたり父に助けを求めますが、「もういい加減にしてくれ」父は悲壮な表情で言い残し家を出てしまいます。ウンジュと共に取り残された家、そこでスミは、血まみれの布袋とそれをひきずった血の痕を見つけます。

 父がなぜ、スミの言うことにまったく取り合おうとしないのか、ウンジュにスヨンが殺されると言ってすがるスミを「もういい加減にしてくれ」とたしなめる父親の目が、逆にすがるように彼女を見つめるのは何故なのか、この辺りに家族を巻きこんだ恐ろしい現象の謎を解く鍵があります。もっとも父親の次の決定的な言葉で、すべての謎は明らかにされてしまうのですが。……映画をたくさん映画を観ている聡明な方なら、それまでに謎を解いていたかも知れませんが。
 美しい少女の姉妹が巻きこまれる恐ろしい出来事、それだけで筆者としてはかなりひいき目で見てしまうわけですが、この作品は家や風景といった美術にもひじょうにこだわり、丹念に作られたそうです。実写では不可能な視覚効果を作り出すためにCGも多用されたそうですが、どこがCGなのかは判らないです。CGによってよりリアルに美しく見せる技巧がたくさん用いられています。
 ラストで、スミの身に降りかかる真実はとっても切ないです。そして頼りない父や憎むべき義母の立場が一変してしまいます。謎を最後まで解けなかった方は幸いです。驚くべき真相がまるで自分のことのように観客を襲い、深い感慨に包まれます。透明感のあるたいへん美しい風景を背景に少女たちを見舞った怪奇現象の真相は、とても悲しくその悲しみさえもが美しいです。

 スミを演じるのは、先日紹介した「サイボーグでも大丈夫」でも主人公のヨングンを演じているイム・スジョンです。適役でした。10年も経った今では、彼女も少女から女性に転身していますね。スミは堂々巡りの深淵に幽閉されてしまいましたが。

監督、脚本:キム・ジウン
出演:イム・スジョン、ムン・グニョン、ヨム・ジョンア、キム・ガプスほか。
2003年、115分。日本公開は2004年。

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